第23話 ページ29
「あの二人は…特にヴィクトリアさんの強さは桁違いだけどね、でも君はちゃんと神覚者たりえる強さを持っている」
それは。カルドさんは私がまだイーストンの学生だった頃から知っているから、その過程も評価してくれているのだろうけど。
「少なくとも、世間は私が神覚者であるということを認めないと思いますよ、私が目立つのが嫌いなのもそうですけど、試験を通過していない、家族に贔屓された神覚者なんてどう世間に受け止められるか分からない。
だから私が神覚者になったことを世間には公表しなかったんですよね」
「それも無いわけじゃない。でも君が神覚者として力不足だとは思っていないし、それが理由でもない。もっと個人的な理由だよ」
そうか。それなら。
「じゃあお姉ちゃんを守るためですか?いずれは魔力がなくなり、間引かれることになるお姉ちゃんを、世間から守るため」
「いつ気付いたんだい、それを」
「昔からです。だってカルドさんは、お姉ちゃんのことが好きですよね?」
魔法不全者の権利保護に格別意識を向けている訳でもない彼が魔法不全社になりうるお姉ちゃんを守ろうとする理由なんて、それくらいだろう。
「…」
「わかるんですよ、だって…」
「だって、なんだい?」
……なんだっけ、なんだか、こういうのを、前に感じたことがあるんだよ。
思い出せない。大事な、大事なものだという気がするのに。
「ごめんなさい、忘れてください。気のせいです。でもカルドさんがそこまでお姉ちゃんを守ろうとするのは好きだからですよね」
誤魔化すみたいに急いで言った私を、カルドさんは不自然に思わなかったらしい。
はは、と笑ったカルドさんはちょっと困っているみたいな表情だった。
「まぁね。でも別に叶う恋だとも思ってないから、彼女が幸せでいてくれれば、幸せでいれる時間が長ければそれでいい、くらいのものだよ」
え、と見やった彼の細められた目からは、真意が読み取れなかった。
「とにかく、今はこの話は置いておこう。僕たちは仕事できているわけだからね」
これ以上話を続けたくなかったのか、仕事に話を戻した彼に私はちょっと考えてから言った。
「そうですね、確かに私たちは仕事できています。それでは私はウォールバーグ校長先生に戻ってきたことを知らせに行くので、先に位置に着いていてくださいね、カルドお兄ちゃん?」
(作者より)
ヒンメルのジェラシーが爆発しそうなセリフだなこれ…
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ヒスイ - 私もハイキューの映画見に行きました! (3月2日 14時) (レス) @page17 id: 5e58244371 (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - あ、間違えました、同じなんですか? (2月13日 20時) (レス) id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - コメント失礼します!好きな作品同士のクロスオーバー最高です!あと質問です!夢主ちゃんの容姿って前世と今世って同じなんですな? (2月13日 1時) (レス) @page5 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
蓮月 - 好きな作品のクロスオーバー✨とても面白いです! (2月12日 21時) (レス) @page5 id: ffc93dad91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魔桃 | 作成日時:2024年2月11日 17時