第19話『大魔法使いゼーリエの弟子』 ページ23
Noside
とある世界に、とある魔法使いがいた。
彼はかつて、天候異常に苦しむ故郷の農業を救うため、ある魔法を欲した。数十年前、故郷を救った勇者たちを尊敬し中でも勇者の妹であった小さな魔法使いをいっそう尊敬した、優しい少年だった。
彼が欲したその魔法は、「天気を変える魔法」。
それを得るためだけに、彼は幸運にも彼に与えられた魔法の力を使い、試練を突破し、19歳で一級魔法使い試験に合格した。
彼は望み通り「天気を変える魔法」を大魔法使いゼーリエよりさずかり、故郷の農業を安定させた。
しかし、彼はその後、故郷に定住することは無かった。
かつて手段でしか無かった魔法は、彼が成長するうちに、彼の全てとなった。
もっと知りたい。あの魔法はぼくにも使えるかな。そもそも魔法のしくみって何?
彼は魔法の魅力に取りつかれ、その生涯を90歳で終えるまでの間、ひたすらに魔法の研究に取り組み、人類の魔法を確実に進歩させた。
その魔法は人類を助け、多くの人の命をも救った。英雄のように語られることも多々ある。だが、大魔法使いゼーリエはこう言った。
『あの子の魔法に対する探究心は尽きることがない。いっそ病的だ。魔法を愛しているのかと言われても多分…もちろんその面もあるのだろうがそれだけでは無い。
あの子は知りたいことがあればわかるまで絶対に諦めない。あの子の探究の旅に同行したのが同じ私の弟子だったから良かったが、並のものであればそ探究に巻き込まれ、死んでいただろう。
あの子は、自分の探究心のためなら多くのものを犠牲にしたって何も思わないかもしれない。それはもちろん、己の身すら犠牲をいとわないだろうな、それは優しさなどではないだろう』
優秀で、そしてその探究心を大魔法使いゼーリエにすら危ぶまれた偉大な魔法使い。
名をフェルト。私たちの世界の言葉ではドイツ語で「畑」を意味する名を持つ男である。
飽くなき探究心を持った魔法使いが人生の最後に願ったのは、別の世界にあるかもしれない魔法の探究。
その願いは女神様に聞き入れられ、彼は今、偶然にも彼がかつて憧れた魔法使いを娘としながら、別の世界の魔法を存分に楽しんでいた。
彼は更に、かつて自分が使っていた魔法すらも使えた。
彼の現在の研究テーマは専らそれである。
「
娘が去っていった先をにこやかに見つめていた彼は、再びドラゴンに向け魔法を放った。
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ヒスイ - 私もハイキューの映画見に行きました! (3月2日 14時) (レス) @page17 id: 5e58244371 (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - あ、間違えました、同じなんですか? (2月13日 20時) (レス) id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - コメント失礼します!好きな作品同士のクロスオーバー最高です!あと質問です!夢主ちゃんの容姿って前世と今世って同じなんですな? (2月13日 1時) (レス) @page5 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
蓮月 - 好きな作品のクロスオーバー✨とても面白いです! (2月12日 21時) (レス) @page5 id: ffc93dad91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魔桃 | 作成日時:2024年2月11日 17時