第16話 ページ20
姉の研究室を離れてから数分。家にたどり着くとすでにそこには母と父が揃っていた。
「おかえり。お姉ちゃんは大丈夫だった?」
「うん。食べ終わったらお皿は後で返しに来るって」
「じゃあ早く食べましょ。せっかくひさしぶりにAがご飯作ってくれたのに。冷ましちゃうなんてもったいないもの」
しばしの間、食器を動かす音だけが響く。今日の夕食はシチューだ。
食事がひと段落したところで、私はふっと思い立って呟く。
「ママがこの時間に家にいるのって、なんか変だね」
「そりゃ〜私はさいきょーの元神覚者さまだし。引退しても忙しいのは変わらないよ、私が帰ってきちゃいやだった?」
「ううん。嬉しいよ。特に最近はずっとイーストンにいるからね、ママともパパともお姉ちゃんとも離れているのは、やっぱりちょっと寂しいかな。生徒たちに教えるから、沢山に人の視線が私に集まるのもちょっとしんどい」
「私も寂しいわよ。でももともとこうなったのって私のせいだし」
「ああ…まあ確かにあれはねえ」
とパパが苦笑する。どういうことだろう。
「だってAが中等部の時、勉強が簡単すぎるっていうから、そんなに退屈なら早めに学業終わらせてあげたほうがいいかなって思ったから飛び級できるようウォールバーグのじいさんに打診したんだもん。嫌がらせじゃないからね!」
「じいさんって…いま世界最強の人に対して…まあね、確かに授業は物足りなかったけど。でもせっかく仲良くなった友達と、離れちゃうのは嫌だった…」
「そうなのよね。それを私も飛び級を決定させた後にじいさんにいわれてさ。Aは友達と離れて大丈夫なのかって。Aは人苦手だし、友達とかできないかと思ってたんだけど。でもねえ」
(あそこまで泣かれるとは思ってなかった。まあ予想通り友達!って感じの子は少なかったけど。特にあの、今年神覚者になった子とは本当に仲良さそうだったし)
「ママ。それはAに対して失礼じゃないかい?」
「あー、そうか?私はAの性格に基づいて冷静な判断ってやつをしただけだよ、それで、そうそう。今年はAが飛び級しなきゃ同学年だった人たちにとっての最後の学校生活の年だから。生徒としては学校にはもう行けずとも、せめて先生として、学校に行かせたらどうかって、ね」
そういうことだったのか。
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ヒスイ - 私もハイキューの映画見に行きました! (3月2日 14時) (レス) @page17 id: 5e58244371 (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - あ、間違えました、同じなんですか? (2月13日 20時) (レス) id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - コメント失礼します!好きな作品同士のクロスオーバー最高です!あと質問です!夢主ちゃんの容姿って前世と今世って同じなんですな? (2月13日 1時) (レス) @page5 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
蓮月 - 好きな作品のクロスオーバー✨とても面白いです! (2月12日 21時) (レス) @page5 id: ffc93dad91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魔桃 | 作成日時:2024年2月11日 17時