第14話 ページ18
「ね〜、ごめんってば、機嫌直してよ、無理やり連れてきたのは申し訳ないと思ってるから」
魔法局から強制帰宅させられてから数時間後、私はただひたすら無心で料理を作っていた。
「連れてきたこと自体に怒ってるわけじゃない」
「じゃあなに?」
「仕事を放り出してきちゃったこと、それからパパがやろうと思えばマッシュくんの尋問自体を止められたはずなのに静観していたこと」
その言葉に…特に2つ目に父は、先程までのしおらしげな顔を引っ込めて意味深な笑みを浮かべる。
「あ、ばれてた?」
「バレないと思ってるの?これでも18年パパのもとで育ったんだよ。パパが巡らせられない策略も、気付けない事件もないってわからないわけがない」
昔から父はとても賢い人だった。ただ知識があるわけじゃない、それを使って様々な事象を予測し、あるいは人をそれと知らせずに動かし、神覚者だった母と共に魔法界を多くの危機から救ってきた。
「大袈裟だよ。ぼくはただ、気になることが沢山あるだけ。それを全部とことん調べ尽くしたら、違って見える一つ一つが実は繋がってたってだけ」
「…ママに頼まれたこと以外の興味が無いことは絶対やろうとしないけどね」
「そりゃママに頼まれたら断れないよ」
「マッシュくんのことはどうでもいいってこと?」
「いや、魔法不全者って存在はレアだからね、みすみす殺させるには惜しい。それでもぼくが今回事前にフォローしなかったのはね、Aがどうするのか気になったからだよ」
「私が?」
「いずれわかるよ、あぁA、鍋からやばい音出てるけど大丈夫?」
「それを早く言って」
「お姉ちゃんは研究室にいるから、ご飯を届けておいで。このままだとあの子、ご飯食べるの忘れちゃいそうだから。その頃にはママも戻ってくるよ、そしたら3人でご飯食べよう」
「お姉ちゃんは呼ばなくていいの?」
「実験中のあの子を?下手すりゃぼくでも殺されちゃうからね、そんな勇気は無い!」
そんなキメ顔で言わなくても。
「わかった、じゃあちょっと行ってくるね」
完成した料理を皿に盛って私は家の外の研究室に足を運んだ。
「あの子は頑張りすぎだ。けれどあの子はいずれもっと頑張らなきゃ行けなくなる。ぼくがどう思おうが関係なしにね。それはもうどう足掻いても避けられない。その前に少しでいいから休ませてあげたかった、それが家に連れてきた理由だよ」
父のその言葉を聞いたものは誰もいなかった。
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ヒスイ - 私もハイキューの映画見に行きました! (3月2日 14時) (レス) @page17 id: 5e58244371 (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - あ、間違えました、同じなんですか? (2月13日 20時) (レス) id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
りこまる - コメント失礼します!好きな作品同士のクロスオーバー最高です!あと質問です!夢主ちゃんの容姿って前世と今世って同じなんですな? (2月13日 1時) (レス) @page5 id: 9a77c9521c (このIDを非表示/違反報告)
蓮月 - 好きな作品のクロスオーバー✨とても面白いです! (2月12日 21時) (レス) @page5 id: ffc93dad91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魔桃 | 作成日時:2024年2月11日 17時