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「鶴さんの持ち方が悪かったんじゃねぇの。人の子が脆いって俺に教えたのは鶴さんのくせに」
後ろから太鼓鐘がフォローをくれる。
おお、と密かに感動。
しらばっくれた鶴丸へ追撃を始める太鼓鐘は鋭さこそ消えていないが何だかんだで態度を軟化させている。
「俺が適当に持ったくらいで壊れるならそれまでだ」
思わぬ方向からの指摘だったのだろう。
鶴丸は、ふん、と音が付く勢いでそっぽを向いた。
ここまでの流れを眺めていた蛍丸は目を大きく見開いている。
燭台切はずいぶん前に厨仕事に行ったようだが蛍丸はここで待っていてくれたらしい。
「良かったね、主」
呟いてくれる蛍丸は俺よりも嬉しさを噛み締めているようで。
ああ、俺は恵まれているなあと温かい感情が心を包んだ。
もう一度水をちびりと啜って短刀に目を向ける。
無事に戻った今剣は放り出された俺と違い丁寧に布地の上に置かれていた。
「それが噂の今剣？」
俺の視線を追ったのか蛍丸も今剣を眺めつつ微かに肩を強張らせ、俺の前に躙り出る。
さり気なく庇ってくれていることに気付いてしまい、バレないようにそっと笑った。
「そこまで警戒するなよ。穢れは全部祓えたはずだ。手入れもされてる。今から顕現してみるけど喧嘩はしないでくれよ」
「そういうのは相手の出方によるよ」
「そうか。そんならやってみますかねぇ」
あの後気絶したおかげで俺の霊力はずいぶん回復したらしい。
えいっと気合いを入れるとポンと小さな桜が咲き、花弁がふわりと踊る。
ゆっくりと子供の姿をとった今剣はお守りの効果のおかげもあってかすっかり綺麗な格好に戻っていた。
赤い目が目蓋の奥から顔を出す。
「ぼくはいまのつるぎ。あのかたのまもりがたなです。ごぞんじでしょう？」
素直な自己紹介なんぞしてやるかって強い視線が俺の目線とかち合う。
「ああ、知ってるさ。アイツの神様」
わかってますよーって顔を作って肩をすくめてやれば、今剣はこくんと1つ頷いて、用は済んだとばかりに俺と蛍丸に背を向けた。
「だてのみなにかんしゃします。ぼくをひきとめてくれたこと、けっしてわすれはしません」
今剣が俺に対するより数倍丁寧に腰を折る。
若干蛍丸からムッとした空気が漂ったが、鶴丸たちが嬉しそうなのを見てしまった俺は責めるに責められなかった。
まあ、功労者は鶴丸だ。
俺よりかは、褒められてしかるべきだよな。
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rimu - 更新停止ですか...。残念ですけど首を長くして待ってますね！あと、すごく面白かったです！ (2022年4月10日 0時) (
レス) @page12 id: 8604b433e3 (このIDを非表示/違反報告)
審神者 - 小鳥遊さん» わー！ありがとうございます！主人公への同意とても嬉しいです！ (2019年9月6日 20時) (レス) id: 0fd095d97c (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊 - 最後の主人公くんのセリフ、わかりみが深いです…… (2019年8月12日 0時) (レス) id: adc8f79d68 (このIDを非表示/違反報告)
審神者 - メアリースーさん» コメントありがとうございます…！そう言っていただけると嬉しいです。 (2019年8月6日 22時) (レス) id: 7c80f3d29d (このIDを非表示/違反報告)
メアリースー(プロフ) - うわすき…… (2019年8月3日 16時) (レス) id: 6050ed781c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：審神者 | 作成日時：2019年7月5日 21時
