おまけま ページ28
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『留三郎……。ここ、外なんだけど』
「ここは外じゃねぇ。用具倉庫だ」
そういう問題じゃないと思う。
『でも、誰か入ってくるかも』
「それはねぇよ。内鍵したし。まあでも、声は聞こえるかもな?」
「聞かれたくなかったら静かにしてろよ?」と私の耳元で留三郎が囁く。息とか髪の毛とかが擽ったい。あと恥ずかしい。
『……ちょっと、あんまり嗅がないで』
「だって久し振りのAだぞ。七日?十日か?」
『三日だよ』
私は三日だけ実家に帰っていた。別に留三郎と喧嘩したとかいう訳じゃなくて、ただ単に恋人ができたことを報告しに行っただけ。
留三郎は実技の試験が近かったから連れていかなかったらこうなった。帰って早々に用具倉庫に連れ込まれたという訳です。まだ荷解きもしてないのに。貰ってきたお土産もそのまま……。
「何か違うことを考えているだろう」
『へ?』
思考の海から戻ってくると留三郎が不機嫌な顔で私を見ていた。さっきまで機嫌良かったのに。
「悪い子だなぁ、なあA」
『え、ちょっと、留三郎』
途端に留三郎の瞳が三日月型に細められる。妖しさと色気が綯交ぜになっていて、言い様の無い軽い恐怖を覚えた私は少し後退りをしてしまった。
「だめ。逃がさないからな」
グイッと腰を引かれ、生まれた空間は呆気なく潰れた。留三郎の顔がすぐ近くになる。彼の唇が綺麗に吊り上がった。
『……ん。……う、んむ……っ』
いつもする、あの唇を合わせるだけのやつだけでは終わらなかった。しっかり閉じている私の唇を留三郎の舌が舐める。そうしてそのまま舌を入れられた。
息が出来ないし恥ずかしいし頭がぽやぽやするし、もう一度言うけど息が出来ない。ちょ、さ、酸素下さい!!
「……ふぅ。Aー?大丈夫か」
『だ、いじょぶな、わけ、ない……っ!』
そう途切れ途切れに言うと、留三郎はまた小さく笑って口付けをしてきた。さっきのやつの味を占めたのか、舌を伸ばして私のそれを見つけ出す。
やばいなんか涙出てきた。なんでだろ。頭はたらかないや……。
「……ほんと、Aは可愛いなぁ」
留三郎が何か言ってるけど理解が追い付かない。疲れた私は留三郎の胸に寄りかかる。膝が笑って立っていられない。
私の頭部に頬擦りをした後、首筋に舌を這わす留三郎。もう声は出なくて、体だけがびくりと跳ねる。
霞む頭で、留三郎は人を舐めるの好きだなぁと下らない事を考えた。
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作者名:香月メル | 作成日時:2021年12月27日 11時