けまけましい君が (ページ21)

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留三郎が21匹ページ21

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「悪いな、無理言って」

『別に大丈夫だよ。私の大好きな林檎がもっと好かれるなら嬉しいだけだからね』

私はしゅるしゅると林檎の皮を剥きながら答える。この間実家から帰るときにお兄様から渡されたのは羊羮だけじゃなくて林檎もなの。

お昼過ぎにおやつにしようと思って林檎を剥いていたら食堂の外から声をかけられた。見ると留三郎と用具委員会の一年生三人が立っていたのだ。

私の手の中にあった林檎を目敏く見つけたしんちゃんがお腹を鳴らし、それを聞いた私がしんちゃんと喜三太、それから平ちゃんに林檎を剥いてあげている。

「Aさん林檎大好きなのに僕らにあげちゃって良いのぉ？」

『良いんだよ、喜三太。沢山食べな』

私は三人の前に切った林檎を盛り付けたお皿を置いた。

「わぁ！すごーい！ウサギさんだー！！」

しんちゃんが喜んで指差したのはウサギさん林檎。ちょっとした細工で出来るし可愛いから私も気に入ってるんだ。

にこにこしながら林檎を食べる三人を見ながら私はもう一つ林檎を剥く。

『はいどうぞ』

「良いのか？」

優しい目で後輩を見ていた留三郎が、驚きながら私に視線を移す。皆私のこと何だと思ってるんだろうね。そんなに食い意地張ってるかな？

『留三郎も食べてみなよ。美味しいから』

「ありがとな」

目を細めて笑うと留三郎は大きな一口で切った林檎を食べる。凄いね、男の人って感じで。……私何考えてるんだろう。破廉恥！！

恥ずかしさを飲み込むようにばくばく林檎の残りを食べていたら留三郎に名前を呼ばれた。

「近いうちに話したいことがあるんだ」

『？今じゃ駄目なの？』

「ああ。でも絶対話すから」

『うん、分かった……』

留三郎は真剣な目をしていて、私はちょっと背筋を伸ばした。

多分これは大事な話。