けまけましい君が (ページ20)

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留三郎が20匹ページ20

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朝早くから食堂で朝ごはんの用意をする。食堂のおばちゃんは何か用事があるらしくて、私は一人でお味噌汁に入れる大根を切ってるんだけど、単純作業が結構好きだから無心でやってる。楽しい。

「A」

『んぴゃあ！！』

声をかけられて慌ててそっちを見る。驚いたときに変な声出る癖治らないのかな。

『っ……けまと……め……さぶろう……』

何年間かの習慣で彼をけまとめくんと呼ぶのが抜けない。今回は途中で思い出して言い直したから、何故かフルネームで呼んでしまった。

「はい、用具委員会委員長の食満留三郎です」

『止めてください虐めないで……』

朝の自主練をしてきたらしい留三郎はちょっと意地悪に笑って私をからかってくる。

「今日は焼き魚か？」

『そうだよ。留三郎は焼き魚好きだっけ？』

「まあ、食べ物は基本的に何でも好きだ。……それにしてもあっちぃな～」

自主練後で暑いのか上はいつも忍装束の下に着てるあの黒い肩衣だけの留三郎は、なんとそいつの襟ぐりを摘まむとぱたぱたと扇いで風を取り込もうとし始める。

…………ちょっと。ちょっとちょっとちょっと！！

ねぇ待ってお願い何してんの！？私留三郎がその格好でここに来たときなんとか踏み止まって悲鳴の一つも上げなかったのに！！どうしてその努力を無駄にするような行動をとるの！？

だってねぇ鎖骨！！！首筋も鎖骨もそんなに晒さなくて良いと思います！

「おいA？顔真っ赤だけど、大丈夫か？」

『う、あ、み、見えてる！見えてるから！！』

「見えてるって何が」

『っ～！留三郎の馬鹿！鈍感！！』

もう顔を上げていられなくて私は両手で顔を覆うと座り込んだ。多分これ以上顔が赤くなることはない。

「鈍感って……。Aに言われたくはねぇな」

留三郎が何か呟いた気がしたけど私はそれどころじゃなかった。同い年とは思えない程の色気でした……。