けまとめくんが12匹 ページ12
留三郎side
学園長先生からAを呼んでこいと言われ、六年の長屋から少し離れた空き部屋の多い長屋に向かう。
「Aー。学園長先生が呼んでるぞ」
そう部屋から出てきたAに告げると、Aは硬い表情で
『分かった……』
と呟いた。
その様子がおかしくて、俺はどうかしたのかと何度も訊ねたけれど、Aはなんでもないの一点張りで。学園長先生の庵に吸い込まれてしまった。
仕方がないから引っ掛かりながらも自室に向かおうとすると、横の空き教室から複数の手が出てきて俺を引っ張り込んだ。
「うお!……なんだよ」
「なんだよじゃないよ!留三郎、Aちゃんの態度気にならないの!?」
そこにいたのは六年生全員。伊作が噛みつくように問いかけてきた。
「気になるけどどうしようもないだろう」
「気になるなら早く学園長先生の庵に行け!」
仙蔵の無茶、というか無礼な助言に「いやそれは駄目だろ」と返すと、小平太がとんでもない爆弾を落としてきた。
「でもA、結婚するらしいぞ」
「は」
結婚……?結婚ってあの??年齢的にはAもちょうど良い年だけど、Aが……?
待て待て向こうで仙蔵が何か言ってるぞ。結婚じゃなくて縁談?そうかそれなら良かった……。
「…………良くない良くないちょっと待ってくれ、Aに縁談……?」
「早く庵に行ったらどうだ。屋根裏からなら話が聞こえるぞ」
文次郎が「それとも留三郎は屋根裏に忍び込むなんて事出来ないのかぁ?」と煽っているのかなんなのか分からない事を言うので、俺は「うるせぇ!」と叫んでから走って部屋を飛び出す。
後ろから六年が着いてきていてなんでだよと思いながらも、屋根裏から皆で下を覗き見た。
「Aちゃん、怖い顔してるね。緊張してるのかな」
「もそ」
伊作の言葉に長次が肯定を返す。
Aは本当に険しい表情をしていた。
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作者名:香月メル | 作成日時:2021年12月27日 11時