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けまとめくんが2匹 ページ2

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これはまだけまとめくんが三年生だった頃のお話。




私は父について行って忍術学園に野菜を届けに来ていた。その日は初めて仕事についていけた日だったから、私はうきうきしながら学園の門をくぐったんだ。




「ケマトメブロッーク!!!」




父から離れて学園内をふらふらしていたら、どこからか聞こえてきた大声に私がふと上を見上げると空からバレーボールが降ってきた。




―――バチーン!!!




頭に大きな衝撃を感じながら私は意識を手放す。遠くから「大丈夫ですかー」なんて呑気に言う声に『大丈夫な訳ないでしょ』と悪態をつきながら。














目を覚ますと知らない天井と知らない男の子が見えた。彼は私が目を開いたのを見てパッと顔を明るくする。




「新野先生!目、覚ましました」



すると私の視界に新しく優しそうな男の人が増え、「体調はどうですか」と尋ねた。私は反射的に『大丈夫です』と答えて父の姿を探した。もしかしたら、お仕事あるから帰っちゃったかなとなんとなく思いながら。



『私、どうしてここに?』



体を起こしながら言うとその質問には男の子が答えてくれた。小さな頃のけまとめくんね。



「ここは忍術学園の医務室だ。俺がブロックしたボールが君の頭に当たってしまってな。すまない、俺のせいだ」



バッと頭を下げるけまとめくんを私は急いで止めた。痛かったけど今はそうでもないし、怒ってはなかったから。



『もう元気だから気にしないで!えっと……けまとめくん!!』



「……けまとめくん??」



けまとめくんは心底不思議そうな顔で首を傾げた。



『あの、叫んでたでしょ?ケマトメブロッーク!って』



「あ、ああそういうことか。違うんだ。俺の名前は食満留三郎という」



『そうなんだ……。私は折原(おりはら)A』




「Aか!よろしく!」




にぱっと笑って手を差し出してくるけまとめくんに私はちょっと困惑した。だって近所の悪ガキのせいで私の中で男の子は意地悪で乱暴な人だったから、こんなににこにこしてる人は見たことがなかったの。



『よ、よろしく』



ぎゅっと握られた手にドキッとしたのは秘密。

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作者名:香月メル | 作成日時:2021年12月27日 11時

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