そこの車止まりなさい5（ＭＩＵ４０４） (ページ25)

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九重の活躍で結果としては水森を捕まえることができた
だが、それはあまり良い結果とは言えなかった
　
水森は夜中のコンビニ前で日本語とベトナム語を使い分けながらこの国の現状を叫び続けた
この国に着たいと思うな、間違っていると
水森の思惑通りなのか、この一件はテレビのニュースにまで取り上げられる事になる
夜が遅かったとはいえ人通りがある道での出来事はすぐに拡散されてしまう
　
『世知辛い世の中ですね。』
　
「そうゆうもんだよ、今の世の中は。」
　
外がすっかり明るくなったころ、私と志摩さんは遠くで何かしている伊吹さんを眺めながら
話をしていた
　
伊吹さんは水森逮捕の時に居合わせたマイさんのためにもんじゃ焼きを作っているらしい
能天気なのか、気が使えているのか私にはさっぱりだ
　
『あ、志摩さん覚えてますよね。』
　
「ん？」
　
『おごりと貸し。』
　
「あれは合算可能だろ。」
　
『違いますよ、おごりはおごり貸しは貸しです。しっかりともらいますからね。』
　
「気が向いたらな。」
　
『またそれ、私逃がしませんからね。』
　
「おーい、志摩～Aちゃ～ん！作んの手伝って！」
　
遠くから聞こえてきた伊吹さんの声に、やれやれと私たちは応答していく
場違いかもしれないが、なんだかこれが平和に感じた
　
この平和がいつまでも続けばいい
　
なんて、柄にもないことを考え私は笑っていた
　
〈続く〉