そこの車止まりなさい5（ＭＩＵ４０４） (ページ13)

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その後もナムさんの足取りを確認していたら夜が明け朝になってしまっていた
流石に戻るかと九重と一緒に署に戻れば項垂れている伊吹さんの姿が見えた

『どうしたんですか？』

「知らん、俺に聞くな。」

志摩さんにあしらわれては息を吐き
自分の席に座る、入れ替わるように2機捜の人達が仕事へと向かっていくので挨拶をした

「はぁぁぁぁぁ。」

あからさまにため息をつかれたので、仕方なく伊吹さんにも声をかける

『どうしました伊吹さん。』

「マイちゃんの事、夜遅くまで店で働いてから最後に入ったのは運送会社で朝まで荷物の仕分け、あんな生活体壊すよ。」

「まあ考えてみれば、上限28時間じゃ時給1000円でも月10万。」

「生活費と学費、日本に来るために作った借金100万これ全部返そうと思ったら全然足りない。」

想像以上にしっかりと考えている伊吹さんに少し驚いた

『…日本はそれ程までに夢の場所なんですかね。』

「でも、それは日本に来る前に…。」

「だからわかってないんだって！」

『来てびっくり、あまりにも理不尽な扱いをされる。』

首がちぎれるんじゃないかってくらいに頷く伊吹さんを呆れ顔で見ていた班長が言葉を続ける

「それで、マイはタタキとは関係あるのか？」

「タタキ？」

「強盗の隠語。」

「分かりません、運送会社では技能実習生達と親しげに話していました。」

志摩さんが見せてくれた写真を覗くと、楽しげに話をしているマイさんの姿があった
この中にもしマイさんと繋がって強盗を行っている人間がいたとしたら
　
「ピンとこない。」
　
唐突に聞こえた声に振り返ると伊吹さんが不満げに椅子を揺らしていた
　
「なんか違う気がする。」
　
『違う？』
　
「またお前のふんわり推理か。」
　
「きゅんともキュルッともしない。」
　
「何の話だ。」
　
「恋の話です！」
　
『また始まった。』
　
私はため息をつくと自分の席に戻った
またマイさんの事を言っているのだろう
　
「マイちゃんが好きなやつはどの男か…ナムもどいつもなんか違う匂わないウフフってない！」
　
「ウフフって何の隠語ですか。」
　
「こいつの話を真面目に聞くなもうすっごい、すっごい殴りたい衝動を抑えんの大変なんだから。」
　
志摩さんの事を少し可哀そうに思えた私は彼にあとでコーヒーでも淹れてあげようと心で思った