コミュ障の鬼殺隊士は誤解と冷や汗を撒き散らしながら今日も往く。 (ページ33)

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勘違い29個ページ33

『善逸、ちょっと私寄るとこがあるので先に行っててくれませんか？』

私が言うと彼はあからさまに表情を歪めて

「ぇぇぇぇぇぇ？？！！！俺1人じゃ行けないよォ無理だよォ…！！というか何気にさらっと呼び捨てになっててすごくきゅんとしたぁぁぁぁ！！！」

などとのたまった。

『うっ、うるっさいですね！？嫌なら我妻さんで良いですけどぉ？！というかいい加減任務くらい一人で行ってください情けない！！』

「ｲｨｨﾔｧｧｧ!!(汚い高音)我妻さんはｲﾔｧｧｧ！！というか結婚するならAちゃんも我妻さんでしょォ？？？！！！」

『一人で任務に行けるようになってから私の旦那さん名乗ってくれません〜？もうっ！私行くので！！！ちゃんと任務行くんですよ？！』

馬鹿みたいなやり取りの末びしっと指さして言うと彼は情けなくびえーーーっと泣き出した。

さっき私に泣き虫とかいったくせに……

「やだよぅやだよぅAちゃんなにしに行くのぉ〜？！！」

私は一瞬言葉に詰まったがまぁいずれ知ることだろうと思って素直に彼に伝えた。

『私の兄様に恋人が出来たと報告の手紙を送るんですよ……兄様結構繊細なので自分の知らないうちに私に恋人がいたら善逸の首飛ばしちゃうかもなので。』

彼はヒィっと鳴いてしゃがみこみ、両腕で自分を抱きかかえてぶるぶる震え出した。私も人のこと言えませんけどビビりすぎじゃありませんか？

「Aちゃんのお兄様何者…？いや家族公認になるのは嬉しいんだけどさ…」

首を飛ばすの一言で完全に縮み上がっている善逸さんをつつく。あ、結構ほっぺたふにふにですね、楽しい。

『面倒なので今度お会いしたら紹介しますよ。私もう本当に行きますから。それじゃ』

「待ってぇぇぇｪｪ！！！俺の事見捨てないでぇぇぇｪｪ！！」

これ以上構っていると本気で時間が無くなるので無視して進む。彼は時折甘やかすくらいがちょうどいいのだ、きっと。

暫く歩いて私の家の子会社である(私が商家の人間だって皆さん忘れてません？)文房具屋へ入り、手頃な便箋と万年筆を借りるとさらさらっと書き上げ鎹梟の足にくくる。

買わないのかって？私の会社なのでいいんですよ。

『この手紙を義勇兄様まで。』

そう言うと梟は人懐こく私の上空を2周飛んでから飛び去っていった。

『たった30分くらいしか経ってませんけど善逸は大丈夫でしょうか…？』