勘違い16個 ページ19
チョコミントくんに声をかけられてびくりと肩を震わせた。
今、私完全に"物語に呑み込まれて"いた……
語の呼吸はほぼ万能と言っても良い。炎雷水岩風、全ての属性を受け持つ異質な呼吸。幅広く、架空の存在の力を借りるのだから威力も並を大きく凌駕する。
ただし使用者への負担はどの呼吸よりも重い。それは肉体的にも精神的にも。
どんなに力をセーブした所で鬼の頸を切れるほどの技を使えば、語の呼吸特有の強烈な自己暗示は容赦なく精神を蝕む。
何度も何度も語の呼吸(自己暗示)を繰り返せば脳は「自分が本当にその物語の主人公である」と勘違いして、自我を侵食するのだ。
そうすると今回のように記憶を保持した自分ではない人格に乗っ取られそうになったりする。
ここの所まともな睡眠をとっていなかったから少しがたが来たのだろう。睡眠は脳の処理に直結する。
きちんとした睡眠は自己暗示によってかけられた一種の催眠からの解放を助けるのだ。
そこまで思考すると、返事をしない事に不安を覚えたらしい彼は焦ったように肩を揺すった。
「おい!A!本当に大丈夫なのか…!?」
『…っ?!い、いーえ?貴方みたいな弱腰さんに心配されるほど私落ちぶれてないのでぇ〜?というか触らないでくださいよぉ。セクハラで訴えますよぉ?』
突然異性に体に触れられて動揺した私は、頭1つと拳2つ身長の高い彼を半笑いの上目遣いで挑発するように言ってのけた。
ンンンンいくらなんでも心配してもらってそれは無いんじゃないですかねAサァン…自分で自分の口が恨めしいわ…
本当に…炭治郎くんは心配してくれてるんだよ?それなのにこんな態度とったらそろそろ愛想つかして怒られるで…?というか私なら絶対張り手のひとつは食らわせているところだ。
ところが彼は私に憤慨するどころか安心したように息を吐くと、私の頭を包み、背中を丸めて肩口に押し付けるように抱きしめた。
炭と少しの泥と汗、そして陽だまりのような暖かい香りと温度に、ショート寸前の脳とは裏腹に身体が弛緩していく。
『〜〜っ?????!!!!!』
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エナ(プロフ) - 腹黒やばないがツボった (2019年9月15日 12時) (レス) id: 11aae5328b (このIDを非表示/違反報告)
さんまるてぃん(プロフ) - アリアナさん» お返事遅れてすみません!時透くんですね、了解です! (2019年9月4日 15時) (レス) id: c51e84ebb6 (このIDを非表示/違反報告)
アリアナ - もし良ければ番外編とかで時透くんとの絡みがあったらうれしいです。 (2019年9月2日 22時) (レス) id: 99796aaed6 (このIDを非表示/違反報告)
さんまるてぃん(プロフ) - 無気力みかんさん» 乙音ちゃん良いですよね…ツンデレの師として崇めてます (2019年8月27日 20時) (レス) id: c51e84ebb6 (このIDを非表示/違反報告)
無気力みかん(プロフ) - お、乙音ちゃんみたいだ………萌え (2019年8月26日 18時) (レス) id: d571eebd63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さんまるてぃん | 作成日時:2019年8月19日 13時