勘違い12個 ページ15
「そうか、いい名前だな!きっとご両親も良い人なんだろう!」
彼はそう言ってさわやかに私の名前と両親を褒めた。
『…かりますか』
「へ?」
『やっぱりわかりますか!パパもママもすっごくいい人なんです!貴方中々見る目がありますねっ♪パパもママもとっても優しくて、いつも寝る時にはお話をしてくれて……』
…そう、彼は杠Aのツボをピンポイントで押した。
彼女は何を隠そう、極度のマザコンファザコンなのである。両親について褒められると推しを語るオタクの如く饒舌になる。
しかし彼は少し驚いただけで引くことも無く、うんうんと相槌を打ちながら矢継ぎ早に話す私の話に耳を傾けてくれた。
しばらくそのままノンストップで語り続けているとちょっと頭が冷えてきて口を噤む。語りすぎてとても恥ずかしい。
『…貴方に御家族はいらっしゃらないのですか?』
誤魔化すように彼にそう投げかけた
「ん?俺か。俺は六人兄弟だったんだ。妹が二人、弟が三人。今はもう妹一人しか残っていないんだけどな…」
んぁぁなんか思ったよりおもそうな話になってしまった…ちょっと話題を逸らしたかっただけなのに…
彼は魚を焼きながらこう続ける
「唯一残った妹も鬼になってしまって。どうして俺だけ残ったのかと考えなかったことも無い訳じゃない…まぁ生き死にになんでどうしてもないんだけどな…」
『故人でいらしたのですね…その、不躾ながらその鬼になった妹さんはどうなされたのですか』
彼は一瞬何か言い訳しようと思考を巡らせたようだったが、取り繕っても無駄だと思ったのか、もしくは生来の素直で嘘が付けない気質のためか、言い淀んだものの答えた
「今も俺の育手のところで眠ってる。俺は妹を人間に戻す手立てを探すために鬼殺隊になったんだ」
『…斬らなかったんですね』
「禰豆子は人間を食べたりしないんだ。信じられないかもしれないが……」
『……私は鬼に両親を殺されました。だから鬼を殺すために鬼殺隊に入りました。まぁ他にも理由はありますけど…』
「…!」
彼は私がさっきまで笑顔で語っていた人物が既に亡き人だと分かると、目に見えて悲しそうな顔をした。
『でも…にわかには信じ難いですけど、信じてあげますよ。貴方嘘をつけるほど狡猾には見えないので。』
「本当か…!?」
『嘘をついてどうするんです。』
私がそう返すとたしかにな、と彼は笑った。
「お、そろそろ魚がいい感じだな!」
『えぇ、そろそろ食べましょうか。』
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エナ(プロフ) - 腹黒やばないがツボった (2019年9月15日 12時) (レス) id: 11aae5328b (このIDを非表示/違反報告)
さんまるてぃん(プロフ) - アリアナさん» お返事遅れてすみません!時透くんですね、了解です! (2019年9月4日 15時) (レス) id: c51e84ebb6 (このIDを非表示/違反報告)
アリアナ - もし良ければ番外編とかで時透くんとの絡みがあったらうれしいです。 (2019年9月2日 22時) (レス) id: 99796aaed6 (このIDを非表示/違反報告)
さんまるてぃん(プロフ) - 無気力みかんさん» 乙音ちゃん良いですよね…ツンデレの師として崇めてます (2019年8月27日 20時) (レス) id: c51e84ebb6 (このIDを非表示/違反報告)
無気力みかん(プロフ) - お、乙音ちゃんみたいだ………萌え (2019年8月26日 18時) (レス) id: d571eebd63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さんまるてぃん | 作成日時:2019年8月19日 13時