【gnki】夢見心地 (ページ32)

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リクエスト---運命共同体【yk】ページ32

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＿部屋を間違えた、と思いたくなる様な光景だった。

扉を開けたらそこには、「おかえり」と素っ気なく返事するキャラメルの様な声は聞こえなかった。代わりに迎えてくれた光景は、強盗にでも入られたのかと疑う程の部屋だった。彼は綺麗好きだったし、周りからミニマリストと言われるほどだった、はず。そこがズボラな私には少し、合わなかった様で、一昨日喧嘩したばっかりだ。

だから、この部屋の荒れようは何だか、不気味だった。

こういう時って警察を呼んでもいいのだろうか。ただ単に、彼が悪質なドッキリを仕掛けているだけかもしれないし。もしかしたら、部屋がこうなるほど心が荒れて、ベットで泣き寝入りしているのかもしれない。＿もしそうだとしたら、彼と別れる事を今後に考える必要が出来そうだが。
過剰反応で呼んでしまって、警察の人達に怪訝な目で見られる可能性を踏まえた私は、結局110番を打ち込んだ端末をもう一回眠らせた。

ガタガタと震える洗濯機が、子守唄のように私を侵食してゆく。

あぁ、八方塞がりだ。今の私には、警察を呼ぶ事も、部屋の扉を開けることすらも出来ない。
行動など、スマホを起こして寝かせたこと以外にやっていない。結局、場面の進展など何も無いじゃないか。やはり110番に掛けて怪訝な目でも浴びておくべきか。

と、スマホを再び取り出した時だった。

リビングの扉越しに、誰かが動いているのが見える。

温く漂う異臭、動かない空気、キリキリと首を絞めてゆくような違和感。それらに耐えられなくなった私は、咄嗟に、助けを乞うように、声を出してしまった。

「ただいま、？」

＿