【gnki】夢見心地 (ページ4)

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終末デート【kn】ページ4

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慟哭する彼女の口に布を噛ませ、紐で塞ぐ。
抵抗も出来ないように、念入りに縄で縛る。

為す術もない彼女を抱きかかえ、車の後ろの席に座らせる。
車のキーをガチャりと回し、エンジンの振動が俺たちを迎えた。

「デートだね、A。」

最初で最期だけど。

Aは俺と同じ学校に通っていた。
初めて会ったのは、Aが寝ているとき。
桜が舞い散る中、すよすよと寝ている君に恋をしたのだ。
花びらと共に靡くやわらかな茶色の髪。少し空いている口。
まるで天使のようだった。

見蕩れている間に、Aが急に起き、

『あ、やばい寝てた…』

と袖元でゴシゴシと口元を擦った。
その後、やっと俺に気づいたのか、

『え、もしかしてみてた？』
「まあ、はい。」
『うわ…はずかし、』

寝起きの時のふやけた滑舌が、とても可愛くて好きだ。
それが、Aと俺との最後のやり取りだった。

それ以来、Aの事が知りたすぎて、気づけばストーカーとやらになっていた。
でも、こんなに好きなのだからいいと思うのだが。

しかし、彼女には彼氏がいるという事がわかった。
嫉妬の渦に駆られた俺は、ある事を思い出した。

心中。

そう！俺とAが一緒に死んで、生まれ変わったら俺がAの彼氏になればいいのだ！うわ頭かしこい。
そして今に至る。

カーナビが目的地に着いた事を告げる。
俺はすぐ様車から降り、Aと最期のお話をした。

「ねぇ、俺と最初にあった日のこと、覚えてる？」
「あの日は桜が綺麗でさ＿あ、いや。Aも負けず劣らずとても綺麗だけど。」

思い出を語り始めるが、Aは目から雫を流し、それどころではないようだ。
口に噛ませた布は唾液で濡れているし。
泣き止む様にと、布の上からちゅ、とキスをする。
うわ、ファーストキスが好きな人だなんて。俺は幸せ者だな。

「さ、早めに終わらせちゃおっか。」

今は冬だから、星たちが綺麗に見える。俺達のこと、迎えてくれているんじゃないのかなんてついロマンチックなことを思いついてしまう。
Aは俺の腕の中で、必死に抵抗しているが、縄で縛っているので身動き一つ取れなさそうだ。

「んふ、かーわい。」

我ながら気持ち悪い笑い方をしながら、崖の方に行く。
この下は海らしいが、ある程度の高さから落ちても受け止めてくれないらしい。まあ、受け止めたらそのまま溺死と行こうじゃないか。
最期に、Aをきゅっ、と抱き締めた。
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