お見送り ページ6
「「ええっー！？」」
湊君に加え、背の高いそばかす君とピンクの少年が見事にハモった
海斗はひとり「はあぁ？」と疑いのまなざしをこちらに向けている
湊君の奥にいるまじめそうな青年は、声こそ出さなかったが鳩が豆鉄砲くらったような表情で
私の顔をまじまじと見つめている
そんなに、意外なのかと私はショックを隠しきれない
見開いた瞳にじんわりと涙がにじむのを感じる
そこへ丁度、矢取りから戻ってきた女子部員が
道場内の様子に気づき、何事かと驚いているようだ
お騒がせして申し訳ない…とうなだれると同時に
タクシーを待たせている事を思い出した私は
一つ咳払いをしてから話し出す
「色々話し合いが必要な気がするけど…、とりあえず今日はタクシー待たせてるし
病院の予約もあるから…そろそろお暇させて頂くね。」
涙で前がよく見えないけれど、手探りでおじいちゃんの荷物を抱え
立ち上がりながらおじいちゃんへと手を差し出す
「はい、摑まって。立てそう？」
ゆっくり立ち上がるおじいちゃんを見て
マサさんが送ります、と背中を差し出してくれた
どうやらおじいちゃんをおんぶしてくれるらしい
おじいちゃんへの気遣いも嬉しかったが、なにより
駐車場までマサさんと一緒にいられることが嬉しいと感じてしまった
「駐車場は正門の横にあるやつか？」
「うん、ありがとう」
マサさんに背負われたおじいちゃんも、背中から「すまんのぉ、感謝じゃ」と
にこにこお礼を述べ意外と快適そうだ
「すぐ戻るからお前たちは射込み続けてろー」
弓道場の入り口へ向かいながら、マサさんが部員のみんなに声を掛ける
「海斗、湊君またね。今度ゆっくり遊びに来るから」
私も一言声を掛け、慌ててマサさんの後を追う
またねー！、気を付けて、とたくさん聞こえる元気な声を背中に
弓道場を出て生け垣を越え
高校生たちの活気が満ち溢れた、風舞高校の正門へと歩き出す
久しぶりに見る紺藍の髪は相変わらずさらさらと風に揺れている
いつもの、月明かりの下で見る彼も神秘的で素敵だが
太陽の光もまた、ニカッと快活に笑う彼にとてもよく似合うと思った
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まんじゅう - 凄く面白いです！更新待ってます( *´꒳`* ) (12月30日 6時) (
レス) @page12 id: 2ede693103 (このIDを非表示/違反報告)
まま - マサさんの心情の表現もよかったし、続きめちゃくちゃ気になります！！ (2023年3月19日 0時) (レス) @page12 id: 21c8ee624a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さのすけ | 作者ホームページ：https://twitter.com/sanomasa0810
作成日時：2019年7月1日 1時
