再会〜待ってる�ぁ焚躓�side） ページ12
愛しい人の横顔を眺めながら過ごす幸せな時間を噛みしめていると
あっという間に駐車場についてしまった
「マサさん、ありがとうございました。」
森岡先生をタクシーの助手席に座らせ、態勢がつらくないか等確認していると
栗色の髪を揺らしながら彼女が頭を下げる
そのまま後部座席に乗り込もうとしていたが
思い出したように振り返り、控えめな声で俺に話しかける
「あの…今夜行ってもいいかな」
付き合いたてのカップルの様なセリフに苦笑しながら
何を今更、と柔らかい栗色の髪を深く指に絡ませる
「いつも勝手に来るくせに。
いつでも来て構わない。待ってると言っただろ」
この一ヶ月あまり、いったい俺がどれだけ待っていたと思っているのかこの少女は
嬉しそうに口角を上げ
また後で、と手を振る彼女を乗せたタクシーはゆっくりと去っていった
彼女を見送ると、なんだか急に冷え込んだ気がした
日が傾いたからか、それとも…
先程よりもぐっと冷たくなった風を感じながら、長く伸びた影を追う様に弓道場への道を歩き始める
―――――
道場へ戻ると予想通り、質問攻めにあった
「ねえさっきのかわいい子誰？」
「マサさんの彼女？」
「マサさん、Aとどういう関係だよ」
「マサさんも小野木も…Aと知り合いだったんだな」
「湊こそ、あんな綺麗な人といつの間に知り合ったの」
「男子ってば鼻の下伸ばしちゃって！」
「でもたしかに綺麗な方でしたわ」
「うん、コーチとの関係もちょっと気になるかも」
皆思い思いに話し始めるので聞き取れやしない
「まったく、ほらお前たち、いつまでサボってるつもりだー
さっさと的前に戻れ」
パンパンと手を叩いて若人達をせっつく
「マサさん」
ぶーぶー文句を言いながらも的前に戻る若人の中
湊だけが振り返り俺をまっすぐ見つめる
「俺、Aに言われたんだ。一緒に弓を引きたいと思う人を見つけなさいって。
それから、その人を絶対に手放してはいけないって…」
だから…と少し恥ずかしそうに湊は言葉を続けた
「だから俺、マサさんに消えないでって言えたんだ」
俺を幽霊と間違え、消えないでと縋り付いてきた湊を思い出し破顔する
「そうか…俺も、Aのおかげで…もう少し弓道に関わってみようと思えたんだ」
湊の黒くて少し癖のある柔らかい髪の毛をくしゃくしゃとなでつけ
あいつは不思議な奴だな…と深碧の瞳を嬉しそうに細める少年と笑い合った
続く
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まんじゅう - 凄く面白いです！更新待ってます( *´꒳`* ) (12月30日 6時) (
レス) @page12 id: 2ede693103 (このIDを非表示/違反報告)
まま - マサさんの心情の表現もよかったし、続きめちゃくちゃ気になります！！ (2023年3月19日 0時) (レス) @page12 id: 21c8ee624a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さのすけ | 作者ホームページ：https://twitter.com/sanomasa0810
作成日時：2019年7月1日 1時
