すべてのことには意味がある～序章～ (ページ7)

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出会い②（雅貴side）ページ7

「…っ！いやっ…！」

形のいい艶やかなくちびるから放たれたのは
まごうことなき拒絶の言葉だった。

見開かれたその瞳は
先ほどまでの黄金を失い
恐怖を携えた栗色になっていた

彼女に拒絶されたことが余程ショックだったのだろうか
俺はその場から身じろぎひとつできないくらいに固まってしまった

「っ…！ご…ごめんなさい…！」

俺が間抜け面をさらしてる間に
彼女は走り去る

「おいっ…！ちょ…！！」

これまた間抜けな声が暗闇へと消えていく

「っ…！くそっ…」

前髪を握りしめ
今しがた自分のやってしまった行動に悪態をつく

目を開けたら目の前に

見知らぬ男がいて

自分へ触れようと手を伸ばしているのだ

恐ろしいに決まっている
恐怖を感じないわけがない

これじゃただの変質者だ

(最低だ……)

謝りたい

しかし、彼女はもう二度とここに寄り付かないだろう

手掛かりは「琴宮」という名前だけ

探してどうする

謝りたいなんて俺の自己満足だ…
彼女は俺の顔なんか二度と見たくないだろう

「…くっそ…俺が…俺が未熟だから…っ！」

彼女を傷つけた

『お前が未熟だから ――未熟だから早気になどなるのだ』

じいさんの言葉が呪いのように纏わりつく

俺は何も成長していない

いつも後悔ばかりだ