不気味電話 ページ35
「…行ってくる」
『うん』
「…」
『…』
「…」
『…ん？』
行ってくる、と言ったもののその場を動かない六郎。
どうした、怖じ気づいたか。
「…A」
『ん？』
「行く前に、」
『ん』
「…抱き締めて良い？」
『えっ何可愛い』
勿論さ！
と駆け寄って抱き締めた。
とてもきつく抱き締め返される。
いや、元は抱き締めたいって言われたんだけど。
先私が抱きついちゃったからね。
「勇気貰ってる…」
『成る程、私は六郎に勇気をあげるためについてきたんだ』
「今決めたじゃん」
そっと、六郎が私から離れた。
「でも、」
ふっと笑う。
「うん、…頑張るよ」
『？…変なの〜』
そう言って私も笑う。
六郎は、その後すぐに院内に入って行った。
ブブブ、ブブブ
『ん？』
スマホがなった。
…公衆電話から？
不気味に思いつつも電話に出た。
『はい』
〔…三澄Aだな〕
『いや、私のスマホにかけてきたんでしょ。三澄A以外に誰がいるってわけ』
最近不気味なのが多いから、この変声機を使った声にも怯えない。
どんと来い、承けてやる。
どんな喧嘩も、戦いも、事件も。
〔…不破芽杏莉には気を付けろ〕
『はぁ？』
〔あいつは、お前のことを、《ザザザ、ザーーザー》だ〕
『いや聞こえない、』
〔お前のためなら死ねるそうだ。これから起こるだろう事件に、か〕
プツッ
『…え』
切れた。
大事なところで。
死ねるって、嘘。
事件？
私のせいで？
私のことを、何？
芽杏莉に何が起こってる？
何、何、何。
…。
『…芽杏莉…っ』
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作者名：桜絵笑美 | 作成日時：2018年5月8日 0時
