流れ星がふる夜に (ページ13)

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父親命恩人ページ13

「いやいやいやいやいや、知り合いなんですかAさん！」

言ってくれれば良かったのに、と所長さんに言われた。

空気読もう、六郎と久部先生からとてつもない殺気、いや空気が出てる。

『…私、どうしろと』

「Aさん、父と知り合いなんですか？」

『あー、うん』

静かな、低い声。

六郎のかと疑いそうになる。

『私と…芽杏莉…共通の知り合いが…病気で…』

あの日、大和が倒れたんだ。

入院になって、手術とかになって。

治してくれたのが、久部先生で。

『知り合いの…命の…恩人で』

「命の。」

『うん…で…前の職場でも…よく協力してもらってて』

「協力。」

『うん…そっか、《久部》だ。ごめん気づいてれば』

「いえ…」

「Aちゃんが謝ることはない」

久部先生が苦笑しながら言ってくる。

キッと、六郎が久部先生を睨んだ気がした。

…いや、睨んだ。

『六郎落ち着いて』

「…」

ギュッ、と、握られた腕の力が強くなった。

久部親子は、お互いをじっと見つめている。

ダメだ、悪くなる一方。

『ほん、だい…行きましょう』

「ああ、そうだね」

「そうですね」

「よ、よっし！！Aお茶持ってきて！東海林は一緒に来て。変なこと言わないでね」

「ちょ、ミコト私を何だと思ってる？」

あははー、と笑いながら夕子を引き連れて歩いて行くミココ。

私は、お茶を用意する前に。

ギュッ

六郎の背中に抱きついた。

「…Aさん」

『《A》で良いし、…緊張は体によくない』

「分かりました…」

『うん、タメ口止めよう。』

「わ、かった」

『うん。私はお茶用意してくるね』

あからさまに顔を真っ赤にする六郎を横目に見ながら、私はお茶を用意しに行った。

これで少しでも別のことに頭が行けば、と思いながら。