夜空帰宅 （オリジナル） ページ48
白井くん確保(保護)組と合流して帰っている、この帰り道。
和やかのような、緊張しているような。
ただ、１つ言えるのは、皆、《安心しきっている》ということだけだ。
誰も口を開こうとせず、ただ、５人揃って、並んで歩く。
私は、たまに夜空の星を見ては、他の４人を見て、ふふふと笑うのだった。
何回か夜空を見て、今も、夜空を見る。
キラリ
何か、落ちた。
いや、流れた。
『…流れ星』
やっと口を開き、静寂を破った私。
皆、空を見上げた。
「あ、私も見えた」
「えぇ、私見えなかったー！」
ミココが見えたと言い、それに夕子が文句を言う。
系ちゃんはくだらないと言い、それを六郎が苦笑しつつなだめた。
流れ星を見ているときも、いつものＵＤＩメンバーの会話なんだな、と。
つくづく思った。
『…今、ここで、蜜柑食べたい。そのあと、檸檬食べたい』
「何、どうしたの？」
ミココの問い掛けに、私は、にっこり笑って答えた。
『蜜柑って甘いじゃない？そのあとに檸檬食べたら、更に酸っぱく感じるでしょ？』
「ですね」
六郎や夕子、系ちゃんもこっちを見た。
私は、また、ふふふと笑った。
『そしたら、あとからでも檸檬食べると、このこと思い出すでしょ？和やかな、平和なこの時を』
私がポツリと言うと、夕子が背中を叩いてきた。
ニヤニヤ笑いながら。
『ったいなぁ！！どした？』
「いや？可愛いなと」
『意味分かんない』
私がブーブー言っていると、六郎とミココが笑って言った。
「そうだね。私も食べたいかも」
「…僕もです」
それに乗るように、夕子が言う。
「えー、私もー！これでもあんたたちのこと好きなんだから！…中堂さんは、最近は良くなったよね」
夕子の言葉に呆れたような表情を見せる系ちゃん。
思わず吹き出した。
「何だ、東海林も三澄妹も。うるさい」
『系ちゃんは食べたくないの？』
私が問うと、系ちゃんは、ポツリと言った。
「…食べたくないわけではない」
その言葉に、他の４人全員が笑った。
「食べたいんじゃん！」
「素直じゃないなぁ」
そんな皆を見て、私は、微笑みながら六郎の服の腕の袖を掴んだ。
六郎は、すぐに私の方を向いてくれる。
『六郎、私ね。前言撤回。今、今この瞬間に、食べたいかな』
私の言葉に、六郎は、軽く微笑んで、「そうですね」と返してくれた。
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作者名：桜絵笑美 | 作成日時：2018年4月17日 23時
