人質判明 ページ46
謝りたくても、話したくても、何かを聞き出したくても、抱き締めたくても、──体温を、感じたくても。
法医学者は、それを一番理解している。
プラス、私も、死者に会いたいと思う。
願う。
『どうして殺そうとした』、って、聞き出したい。
だから、白井くん。
君の気持ちが、痛いほど分かるんだ。
暫く黙って、私は、画面のとある部分に目が釘付けになった。
大変だ、視聴者が。
〔…視聴者１０万人。もう１人、殺さないと〕
『っ、まだやるの！？』
「落ち着いて」
ミココに肩を掴まれ、止められる。
学校側も乗り出してきた。
〔学校に否があったことは、認めます！だから止めなさい！！〕
白井くんは、無言でＸに近寄り、そして。
私たちを、驚愕させた。
『…願いが、ここで叶っちゃった』
Ｙくんのとき、マネキンであるよう、人形であるよう祈った。
その願いが、遅れて叶ってしまった。
一番嫌なタイミングで。
「人形！？」
「もう１人、殺すって！？」
『さいっっっあくだ！』
人形を殺すと思う？
ぶっ刺したらそれで終わりだよ。
違う、これは。
『《人形は自分》なんて、言わないよね…！？』
白井くんは、パプリカを取り、語り出した。
自分のことについて。
〔僕は、私立翠川高校１年Ａ組の白井です。死んだＹと僕は、いじめられてました。同じクラスの小池と澤田と松本に。〕
『死者は匿名か。偉いね。………じゃなくてっ！！バカじゃないの！？』
〔これは遺書です。これで終わり。僕は、僕を殺す。〕
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作者名：桜絵笑美 | 作成日時：2018年4月17日 23時
