警察事情 ページ35
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「白井の携帯から、逆探知できないんですか?」
「番号からして、アプリ電話というやつで、基地局を経由しないため分からないんですよ」
「あの、警察のサイバー班なら、ライブ配信してるサーバーのアクセスポイントから調べられませんか?」
「我々は少年課ですから、何とも」
「少年課?通報時には、《殺人》とお伝えしました」
「ネットのいたずらを一々本気にしていたら、警察はパンクですよ」
『…《サイバー班》?《アクセスポイント》?』
「そういうのがあるんです。知らなくても、大丈夫ですよ」
『へ、へぇ?』
話の内容が掴めない私に、六郎は優しく《大丈夫》と言ってくれる。
そんな私は、手にはあの実況動画。
次のヒントを待ちわびていた。
…警察うるさいなぁ。
『血液の一致がないと駄目か』
「難しい時代ですね」
はぁ、とため息を吐いて実況に視線を移した。
こっちもこっちでブツブツうるさいし。
本朗読してる。
これは、えーと確か。
『《ソア橋》か…。』
昔読んでいたらしく、現在も部屋にある。
一度読んでみたが、面白かった。
排水溝を使ったトリック。
包丁を自分に、自分で刺す方法。
『関係あったりして』
「?何か言いました?」
『六郎。ううん。何でも』
再び視線を実況に移した、その時。
〔ヒントの時間です。M先生、背中を見せてあげる〕
『っ!』
ソア橋を読むのをピタリと止め、ヒントを出す準備に入っていた。
皆、実況動画に釘付けになる。
…あれ、小説の正体探しやってる人たちいるじゃん。
後で書き込んどこ。
どーせ関係ないし。
それより、今はヒント!
私たちは、白井くんの行動をじっと見る。
白井くんは、Yくんに近寄った。
『服、切ろうとしてるね』
「あ、ナイフ」
「凶器…?」
どうやら服を切って脱がせるそう。
傷口を見せてくれるのか?
そこで白井くんが使ってるのが、サバイバルナイフ。
血がついてます、はい。
これで殺ったか?
『あ、腹部見える!』
腹部は、皮下出血が酷かった。
とにかく現状を声に出し、六郎に記録を求める。
『皮下出血が3ヶ所。六郎記録してる?』
「はいしてます!」
へっぽこ探偵役に立つ、ってか?
ってか皮下出血多い。
全部で。
『全3ヶ所…。全て紡錘形の刺し傷。』
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作者名:桜絵笑美 | 作成日時:2018年4月17日 23時