過去弐 ページ20
『知ってたんだ?(笑)』
「えええええっと、いや。あの」
『別に良いんだけど』
六郎の慌てっぷり。
ミココのことをさしてるのだと思う。
知ってるのか。
話したのかな?
でも、この慌てようは、噂?
うーん、怖いなぁ。
『同じ病院だったと。』
「…奇跡ですね」
『ですね〜…』
うんうんと首を縦に振る。
本当奇跡。
『…その親戚さんが、私のこと、噂で知ったんだって。』
「噂」
『そう。怖いよね。まぁ、私にとっては良かったんだけど』
私は六郎に、にっこりと笑いかけた。
『私、お義母さんのこと大好き。だって、《なら、その子も私が引き取ります》って言ってくれたんだよ?親戚とかでもない、赤の他人を』
「…良い、人ですね」
『うん。良い人!』
お義母さん…いや、お母さんの顔を頭に思い浮かべた。
お節介なところもあるけれど。
私の、ある意味命の恩人だから。
本当の母親よりも、母親って思ってる。
『…でも。実の母親が、何で心中しようと思ったのか、それだけは分からない』
「…」
『それを、解き明かしたかった。…もう、無理だけど』
はぁ、と息を吐いて、六郎に向き直った。
『それが、私の過去だよ』
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作者名:桜絵笑美 | 作成日時:2018年4月17日 23時