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過去壱 ページ19

『いきなりだけどさ。私とミココって、姉妹じゃないの』


「…え?」


『まぁミココのことには触れないけどさ。私、三澄の家の子じゃ無いんだ』


ミココも三澄の家の子じゃ無い、ってとこには触れない。


言わないようにしてるんだと思うから。


『…だからと言って、お義母さんと私の実の母親が親戚、ってこともない』


「…え?」


『うーーーん。29年前のことだから知らないかもだけど。【伊集院無理心中未遂事件】って知ってます?』


「…聞いたことがあります」


29年前は六郎は産まれてないからね。


私は苦笑。


でも、聞いたことがあるってことは、結構重大な事件だったって噂は、本当だったってこと。


『簡単に言うとさ。伊集院早央って女が、夫と、あと、お腹の中にいる娘と、心中しようとしたんだよ』


「…そんな」


『その女はさ。まず夫をメチャメチャに刺して、そのあと自分を刺した』


「…え」


六郎の顔から、表情が消える。


残酷な話だよね。


『…女は辛うじて生きてた。…普通、お腹の子はその時点で死んでた。でも!』


「でも?」


『夫も、沢山刺されたにも関わらず、辛うじて生きていた!!』


「え」


『ナイスプレー!…だよね』


これは、私も聞いて驚いたよ〜。


死んでたと思ってたんだから。


『で、警察に電話かけたの。そのとき、言ったんだって。』


ふ、と笑う。


『《僕はもう無理ですが、妻はまだ息があります。妻のお腹の中の娘を助けてください》って』


「あ」


何か察したようで、六郎は私を見た。


私は笑い返し、言葉を続ける。


『警察、ギリギリ、間に合ったんだって。』


「良かった…」


『女は、帝王切開したとき、死んだけど』


「えっ」


六郎は、安堵した次の瞬間固まった。


『あと二週で産まれる予定だったらしくて。大丈夫だって』


「良かったです」


『うん。でも夫は亡くなったし、元々、両親がいない同士結婚したらしくてさぁ』


「えぇ…」


百面相な六郎。


見てて飽きない。


『…そんなときと同じ時期に、何歳か歳上の女の子が、両親を亡くし、親戚の家に引き取られることになった』


「…え、あ、それって」


『そ。ミココ』

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設定タグ:アンナチュラル , 久部六郎   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:桜絵笑美 | 作成日時:2018年4月17日 23時

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