気力戦 ページ17
『あっ!!!』
家へ帰って。
ふと、思い出した。
〔この事件が終わったら話があります〕
という、六郎からのLINE。
それに、眼鏡も返してない。
…あれから、会ってない。
なg ……木林さんと話してたら、疲れちゃって。
飲みに行って、そのまま帰ってきて、ソファに倒れた。
…まさかの過去だったし。
『あーーー!!疲れた!』
だからといって、六郎からの話が気にならないわけではない。
こうなったら。
『世の中便利だね。LINE電話しちゃお』
独特の音楽が流れ、六郎の応答を待つ。
数秒後。
六郎の声がした。
〔…?はい。もしもし〕
『あっ六郎!いきなりだけどLINEで言ってた話って何?』
〔ガシャンッ〕
電話の向こうで、何かをこかしたような音がした。
えっ、大丈夫かなぁ。
〔えーー、あーー、明日〕
『気になる』
〔…言うとしたら会って言いたいですし〕
『なら会おう。眼鏡持ってく』
〔あぁ眼鏡………って、え?今から!?〕
六郎って反応面白いなぁ。
私は、声を殺して笑う。
笑ってたの知られたら、きっと拗ねられる。
予想がつく。
『六郎の家てどこ』
〔○○駅ですけど…って何言わせるんですか〕
『えっ私△△駅だよ〜。○○駅まで歩いて2分』
〔そうなんですね〕
『うん。だから行くわ』
〔え!?〕
気軽に言うと、再び六郎の焦った声。
何だろう。
〔夜道ですよ!?Aさん女性ですよ!?〕
『うん。そうだね。六郎泊めて』
〔ええ!?〕
すらりと口から出た言葉。
名案じゃん!!
泊めてもらおう。
『泊めてね。拒否権無いよ』
〔拒否権くださいよ…(汗)〕
『で、詳しい住所は?』
〔…〕
何も言わない六郎。
えー、どうしよう。
『どうせ年賀状書くからさぁ。教えてよ』
〔そういう問題じゃなくて〕
『ほら、教えなさい!!』
〔…。〕
六郎が、私の気力に負けて、住所を教えてくれたのは、これから3分もあとのことだった。
気力戦だった。
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作者名:桜絵笑美 | 作成日時:2018年4月17日 23時