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影が四十 ページ41








こぼれ球(セカンドボール)は音留さんと5番くんの方に落ちていく
ボールは先に5番くんが取り,僕達の陣へ突っ込んでいく
さっきよりも細かいタッチと複雑なコース
まるで踊っているようなドリブルはこっちのディフェンス陣を崩していく


上手く人も使って音留さんを躱してすぐにᏢ・A(ペナルティエリア)侵入
仁王さんも向かっているけど,多分止められない
だったら彼が狙う場所は、







『!…Good』








止めに入ろうとした僕より先に動き出す一人の姿が目に入った
あの人は読めない,って思ってたけど,思ってたよりもあの人は勝負師(ギャンブラー)だったらしい
つい英語発音で出てしまった賞賛の声は場の空気に溶けて,きっとあの人には聞こえていない






「愛空…!?」






伝染するように極致への介入は愛空を成長させる
流石です,と心の中で零した言葉は僕しか知らない





あぁ,サッカーってこんな感じだったのか








摘まれた花は元通りにすることはできない
けど新たに花を咲くことができる



日本のサッカー常識は元々僕も嫌いだった
何故,優れた才能を凡人の常識によって殺さなきゃいけないのか
冴から聞いていた日本のサッカーは僕があいつ(・・・)を見て軽い知識程度に覚えてたものとは異なったものだった




愛空がボールを弾くのを視界に収めながら,僕はちゃんと今の彼の生き様を見届ける
何様だ、とかあいつなら言うんだろうが,今君はいないんだから許しくれ








凛くんがボールを拾う
けどすぐに愛空が立ち塞がる
反応速度も読みも格段に速くなってる







『(きっと,彼らは愛空のあったかもしれない姿なんだ)』







愛空から世間話程度で軽く話された昔話は聞いていて気持ちのいいものではなかった
ストライカーとしての自分を摘まれて,そんな自分と同じような人を増やさないようにDF(ディフェンダー)になった愛空



凛くんの間合いを防いだ愛空の顔




それは清々しいほど楽しげなものだった







『……終幕(エンドロール)はもうすぐですよ』


「準備しとけ我儘主将」


「やっちゃえ天才共」







愛空が弾いたボールは偶然にも(・・・・)僕の元へと落ちてきた








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胡春(プロフ) - ありがとうございます?笑 (2023年1月2日 15時) (レス) id: 289535ebf9 (このIDを非表示/違反報告)
あノ - 神ですかね・・・ (2023年1月1日 22時) (レス) @page7 id: ff248e80c5 (このIDを非表示/違反報告)
胡春(プロフ) - ありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです!これからも頑張りたいと思います! (2022年8月10日 20時) (レス) id: 289535ebf9 (このIDを非表示/違反報告)
神崎 - 初コメ失礼します。すごく面白いです!応援しています!頑張ってください!! (2022年8月10日 17時) (レス) @page26 id: 62e83b8f5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡春 | 作成日時:2022年3月19日 14時

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