影が二十 ページ21
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「…感化でもされたか?」
『…?感化されるような要素どこかにありました?別にそういうのじゃないですよ。ただ,僕からしたら初めて見るサッカーで少し驚かされることばかりだっただけです。変わってますね,彼ら』
そう、変わってるんだ彼らは
心の中がでそう呟きながら、彼らを見る
『僕はいろんな人を近くで見ながら,サッカーをしてきました。冴に比べたら短いでしょうが彼らよりかは経験はあるつもりです。なのに、』
こんなエゴに満ち溢れたサッカー初めてだ
「…お前は俺が見つけてこっちに引きずり込んだ」
『…引きずり込んだなんてとんでもない。導いてくれたんですよ』
「…お前は今サッカーやってて楽しいと思うか?」
楽しい
冴の率直な質問に僕は冴の方に視線を戻す
こちらを ゛あの ゛目でじーっと見つめ,僕の返答を待っているようだった
僕は困った
彼が期待するような答えを出せそうにない
『…わかりません。どちらとも言えないです』
「…そ」
彼からの期待
冴は何かを僕に望んでいた
けど,今の僕じゃそれを導き出せないようだった
僕の返答を聞いた冴の顔は,いつしか見た何かを諦めたような表情
それを僕の言葉でさせてしまったのだと思うと,胸がズキリと痛んだ
「…お前は天才だ」
『…冴…?』
突然冴がそう呟く
「お前にはサッカーの才能がある。それは十分世界で戦える、゛あいつら ゛と戦えるぐらい。天也」
『…はい』
「迷うなよ。今はそれでいいが,必ず見つけろ。自分のエゴ」
『…エゴ…』
他人のエゴはたくさん見てきた
点を獲る、勝つ、負けたくない
だけど僕のエゴは?
僕のエゴはなんだろう
冴の傍でずっと冴の影になることじゃないのか?
試合が始まる一分前
僕は心の中にしこりができたのを感じた
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胡春(プロフ) - ありがとうございます?笑 (2023年1月2日 15時) (レス) id: 289535ebf9 (このIDを非表示/違反報告)
あノ - 神ですかね・・・ (2023年1月1日 22時) (レス) @page7 id: ff248e80c5 (このIDを非表示/違反報告)
胡春(プロフ) - ありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです!これからも頑張りたいと思います! (2022年8月10日 20時) (レス) id: 289535ebf9 (このIDを非表示/違反報告)
神崎 - 初コメ失礼します。すごく面白いです!応援しています!頑張ってください!! (2022年8月10日 17時) (レス) @page26 id: 62e83b8f5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡春 | 作成日時:2022年3月19日 14時