雨に憧れて 2 Remus John Lupin リクエスト ページ42
先生はこの学校に来たばかりで、あまり話したこともなかったのに、
ずっと一人で抱えてきた悩みは意外にもするりと口からこぼれた。
染み込んだホットチョコレートの暖かさが、私に打ち明ける勇気をくれたのかもしれない。
『私、昔からの幼馴染がいるんです。でも寮が別々になって、だんだん距離ができて…言い合いになってしまって』
そのことばかり考えていた私は、クィディッチの練習で箒から転落してしまった。
何週間も寝たきりで、やっと歩けるようになったと思えば、もともとだめだった勉強はどうあがいても追いつかくなっている。
大好きだったクィディッチも、チームに戻れるかわからない。
『全部がうまくいかなくなって』
私はぽつりと呟いた。
『でもこれは私の問題で、先生には何の関係もーーー』
「それが君の悪い癖みたいだね、A」
彼は柔らかく微笑んだ。
「君に必要なのは、一人で考え込まずに全て吐き出してしまうことだ」
ああ、そうか。
私はその言葉に妙に納得がいって、そう思ったら、途端に涙が溢れた。
今までずっと、自分で自分を苦しめて、負の感情を閉じ込めていたんだ。
涙とホットチョコレートの味を、今でも覚えている。
あの日、貴方は私の心を動かした。
＊
城の正面の大きな扉の外に、貴方の後ろ姿が見えた。
私は息を切らしながら必死に叫んだ。
『ルーピン先生っ…！』
通り雨のせいで、私のローブや髪はぐちゃぐちゃだったが、そんなことは全く気にならなかった。
「君はいつもずぶ濡れだね、A」
先生は振り返って、くすりと微笑んだ。
『私、先生が好きです』
ずっと引っかかっていた言葉が、
言えずに躊躇っていた言葉が、
雨に背中を押されて、すっと出た。
あの時も、今日も、雨はいつも私の言葉を押し流してくれる。
先生はかすかに微笑んだまま、立ち尽くす私の方へ戻ってきた。
雨がローブに染み込んで、次第に肌を濡らす感触だけが妙に心地いい。
呆然としていると、ふと、
雨の音が遮られた。
あの時と同じ傘の中で、
目の前の景色には先生だけが映る。
彼は少し腰を屈めた。
ーーーー彼の甘く、優しい唇が、私の唇にそっと触れた。
「続きは、君がもう少し大人になってからだ」
先生は私に傘を手渡した。
ぼんやりと彼の後ろ姿を眺めて、
傘を持った手が緩む。
傘が落ちても、雨にぬれても、
もう寒くない。
貴方に触れられた。
貴方の頬に落ちる雨に、近づけた気がした。
雨に洗われて Remus John Lupin→←・雨に憧れて Remus John Lupin リクエスト
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スピカブラック - イレイさん» まだですか？ (2020年10月20日 2時) (
レス) id: b5e377f0b8 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - リクでセブで甘で書いて下さい (2020年9月24日 3時) (レス) id: b5e377f0b8 (このIDを非表示/違反報告)
愛菜(プロフ) - いつも読ませてもらってます！よければジョージと夢主ちゃんがホグワーツでラブラブする話をお願いします！ (2020年3月21日 11時) (レス) id: e2056a58cc (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - 出来ればで大丈夫です。頑張ってください(*’ω’*) (2018年7月23日 21時) (レス) id: b6f3460812 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - リクエストokなら、フレッドをお願いします。シチュエーションokなら、ケンカップルやったけど、結婚を約束していた2人。でも、最期の戦いで夢主ちゃんが、フレッドを庇って死んじゃうのでお願いします。因みに夢主ちゃんは、手紙を書き残したので、お願いします。 (2018年7月23日 21時) (レス) id: b6f3460812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2015年8月11日 10時
