二章個性:『刀剣』 (ページ43)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:38,466 hit

42話ページ43

刀が振り落とされる

俺は、死を覚悟した

だが、俺の後ろから聞こえてきたのは、刀の音ではなかった

振り向くとそこに居たのは

？「やめてください！！一兄ぃ！！」

平野だった

山「ひ、らの…」

上手く喋れない

何故、ここに平野が？

平野「や、やめてください！！

仲間では、ありませんか！！目を覚ましてください！

一兄ぃ！！」

震える声で、必死に両手を広げる平野

まずい、こいつはお前達の知っている一期では、ない

陸「逃げるんじゃ！！平野！！」

蜂「そいつは、お前達の知っている一期じゃない！」

陸奥守、蜂須賀も遠くから平野に声をかける

だが、

平野「お願いします！！一兄ぃ！！」

陸奥守、蜂須賀達の声が聞こえないのか

必死に一期に声をかける、平野

一期「…」

平野「一兄ぃ！！」

平野の必死な声

だが

一期「どけ」

聞こえてきた、一期の声は、あまりにも低くかった

平野「ど、どきません！！

やめてください！！一兄ぃ！！」

一期「なら、一緒に

そこの死に損ないと共に壊れなさい」

刀を振り上げる、一期

平野「絶対にどきません！！」

一期を真っ直ぐ見る、平野

一期「ｯ」

一期は、少し躊躇っている様子だったが、覚悟を決めて大きく振り上げた

一期「はぁああ！！」

刀を振り下ろそうとした時、平野を俺の元に引き寄せ

一期の心臓目掛けて、刀を刺した

一期「ｯ！

ｺﾞﾎｯ…!!!」

平野「一兄ぃ!!!!」

後ろで叫ぶ、平野の声

一期は、後ろに倒れた

平野「一兄ぃ!!!」

平野は、一期に駆け寄り
涙を浮かべていた

一期の身体が綻び始めた

自分の手を見て、目を閉じる一期

山「壊れる前に、聞きたいことがある

……何故、さっさと殺さなかった」

一期「……」

山「お前なら、平野と俺

両方、破壊する事など簡単だろ」

一期は、うっすらと目を開き

平野を見た

一期「…いくら、敵とは言え

大切な弟を……、殺したくなかった

…他の弟たちも……」

平野の頬に手を添えて、笑顔を見せる一期

一期「すまなかった、お前の兄弟を殺め……てしまって……」

平野は、泣きながら

その手を握る

一期「こんな、私を…

一兄と呼んでくれて……ありがとう……。

私の…、大切な…弟……」

そう言い残し、一期は、壊れていった

折れた刀を前に泣き叫ぶ、平野

後ろから、聞こえてきた

大勢の足音

その音を最後に、俺の意識は消え去った