元祓い屋の現怪異。参

＠１０９ 光 ページ17

『わーい楽しい！』


ミツバ「ちょ、やめてよ！！降りて！」


ミツバの上に乗ってるAは本当に楽しそうに笑ってる


でもさっき話してた時はすごくつらそうな顔してた


そんなことがあるからだろう


いつしかオレはAの笑顔を見ると切ない気持ちになる


光「…先輩」


壁に沿った階段を怖がる先輩の手を取って登らせる


ネネ「ありがと…あっ、見て。光くん。流れ星！」


視線を向けると現実ではなかなか見れない綺麗な星が流れてた


ネネ「この世界って星がすごく綺麗だよね。本当の世界よりずっと…。みんなで天体観測したのも楽しかったな」


先輩はこの世界のことが思ったより気に入ったらしい


確かにここなら先輩の寿命がもう少しなんてことない


ずっとずっと幸せに生きれるはずなんだ


光「………」


そんな惨めな顔を見とったのか、先輩はすぐに、それでも現実に戻りたいと訂正してくれた


ネネ「でも…、私ね、この世界のことも結構好きだった。それも本当。私…花子くんもこの世界が好きだからずっとここにいたがってるんだと思ってた」


先輩は星から目を逸らした


ネネ「…でも、全然違ったんだね。一緒にプール掃除したり授業受けたりしてたとき、花子くん…本当は何考えてたのかな」


ふと頭にあいつの顔が思い浮かぶ


いつも笑ってふざけたことして人をからかうのが上手で…


でも、心の中でなにを考えてるのかは全く分からない


ネネ「もしかしたら、いつもの花子くんも演技してたのかなぁ…Aちゃんも、いつも隠し事してる気がするけど、本当はどうなのかなぁ…なんて……わかんないね」


自分の心の中の不安を抉られたみたいだった


先輩の元に1歩近づく


先輩の不安を取り除くためにも、自分を納得させるためにも、話し始めた


話してるけど…どれが正解なんてわからない


結局あいつらが話してくれなきゃオレらは憶測でしか動けないから


あいつらにはわからない


どれだけの人が自分によって翻弄されてるのかなんて


Aも、花子も、


全部を語ってくれはしない


だからオレらは待つことしか出来ない


でも話してくれた時は


感情を全部ぶつけて泣いて怒って叫んで、


それでも最後に笑ってありがとうって言い合えたら…なんて


そんな上手く行けばいいんだけどな

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