【深夜廻】おわかれはいつも、【文スト】【中編小説】

かくれる ページ7

「…よし、まあ説明はこんなもんかな！」


僕らは一通り町の説明を受け、夜の街へと繰り出した。


…何かを忘れているような…


「あれ…？そういえば太宰さんは…？」


そうだ、太宰さん！神社で見かけて以降、彼の姿を全く見ていなかった。


「あの人なら多分大丈夫。ゴキ〇リ並みの生命力だって国木田さんも言ってた」


鏡花ちゃんの辛辣な言葉に苦笑いしながらも、心のどこかでは納得していた。


…まあ、太宰さんなら大丈夫か！


街をめぐる目的に、太宰さん探しも追加された。


「まって」


いきなり少女ことAちゃんが足を止めた。


前方には、神社へ行くときも見た虚ろな白い影。


そしてその影は僕らに気づくと、こちらへと迫ってくる。


「あれも含めて大体のオバケは隠れれば逃げられるよ。取り敢えず、あそこの看板裏に逃げよう」


Aちゃんの言葉に急いで頷き、看板の裏へ隠れる。


…自分の鼓動が五月蠅い。街の不気味な静かさのせいか、余計に緊張が走る。


どくん、どくん。暫く看板の裏に隠れていると、あの影の発する唸り声が遠ざかっていった。


そして安心して看板の裏から出た刹那、


何かを引きずるような音の後、すぐ後ろでじゃきん！という音がした。


間一髪、避けることが出来た。


またあのコトワリ様、とかいうやつが来たのかと思ったが違う。


白いボロボロの袋のようなものを被った、鉈を持った化け物が、其処には居た。

なた→←いるはずのない

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