想い人の瞳に映るもの【r.d】 (ページ1)

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「A..？」

『っ....』

潜入先でコンちゃんが捕まえてきた捕虜が、俺のかつての想い人だった時。

俺は、どうしたらいいんだろうか。

見ない間に大人っぽくなった彼女は、あの時とは正反対に俺を睨みつけて警戒している。

「なんで、....」

『....』

色々な感情が入り雑じって、絞り出す様に言ったその言葉に彼女はそっと目を伏せた。

警戒は解けたものの、どこか悲しそうな彼女のサファイアブルーの瞳は輝きを失っていて、濁っている。

爛々と光る綺麗な目で、俺を微笑み見つめる彼女はとても美しくて、儚くて。

そんな彼女におれは、想いを寄せていたのを覚えている。

『..ごめんね、らっ君。そんな顔させて。』

「っ...」

なんで、悲しそうなの。謝らないで。

そんな言葉はでないまま、空気に溶けて消えた。

指摘されるなんて、俺はどれだけ酷い顔をしていたのだろうか。

このあだ名、久しぶりに聞いたな。

たしか”『蘭君？じゃあらっ君ね！』”とか言って彼女が作ったあだ名だったっけ。

なんてぐるぐると頭を回転させていると、ガチャと音を立ててドアが開いた。