初期刀？いいえ、初期槍です。《番外編》【刀剣乱舞】

その６ ページ29

「ッ、おりゃぁっ！！」


鞘がついていたお陰で刺さりはしなかったものの、結構鞘自体が鋭いので握ってると微妙に痛い。でもんな事言ってられる暇なんぞない。


「大千鳥さん、いいから止まってえぇえ！！もう私これ以上走れないよ、追いかけられないよぉおお！！」


大千鳥「え、これそういう走り際に電車追いかける青春ドラマのワンシーンちゃうんか」


「違うって、いいから元に戻ってよ！！」


大千鳥「とりあえず下に降りればええんか…わかった」


するとようやくわかってくれたのか、大千鳥さんはそう言ってぬるっと落ちる様にそのまま落下した。

いや…大千鳥さん…妖怪なの…？


「ウベッ！！」


やがて彼が本体を手放したせいで私はそのまま地面に軽く落ち、そして下に落ちた大千鳥さんは…


「〜〜〜、〜〜〜〜〜。」
(訳：これでいいか、主)


「」


…今度は上半身が、床に埋まってしまった。


ーーー


「う゛え゛ぇええん、もうわげわがんないよぉおおお！！」


止まったはいいものの、今度はロクに喋れなくなってしまった大千鳥さんの酷すぎるバグに私は思わずおーいおいと大声で泣く。

大体なんなのよ、今日私非番とってせっかくゆっくりしようと思ってたのに、あの槍共に起こされて、それで今度は新しい槍の面倒見とバグ治しでしょ？こんなの泣くに決まってんでしょ、私の楽しかった日々を返せよお前等ぁあああ！！


「ぢっぎじょー、あの鬼畜野郎共、絶対いづが仕返しじでやる、酒にデスソースとか仕込んどいてやるぅううう！！」


疲労も増したせいで思わず悔し泣きする私。もう疲れた、寝たい、まともに寝たい。あいつ等良い奴だし大好きだけど、こういう時はマジで嫌いだ。

しかも今本丸に何故か私と大千鳥さん以外誰も居ないし、みんな朝から結構静かだったし。

っていうか、真面目に私嫌われたのかな、ついにあの裏切り系小説のヒロインみたいに嫌われちゃったのかな…？大千鳥さんだけが唯一洗脳されてない味方、みたいな…

だがそうネガティブになり始めていると、突然電話がジリリリ、と鳴り響く。そういえばここは電話台の近くだったか。


「あ…ごめん大千鳥さん、ちょっと待っててね」


そう彼に一応声をかけてから本体の槍をそっと起き、電話を取りに向かう私。

すると、出たのは…


『ハーイ、さに子！元気してた？』


「ざ、ザニエざあぁあああん！！」

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今日のラッキー初期槍

病み東西

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