ミッドナイトブルー

お友達に会うはなし ページ12

.





担当しているラジオ番組の収録の日。
今日はゲストが来ることになっている。
そのゲストというのは。




て「おはようございまーす」




東海オンエアのてつやさん。
いつも動画で見ている人、というか、りょうの仲良い友達が目の前にいるという、不思議な感覚。

そんなことを一瞬思って、
いざ普段通りの仕事が始まってしまえば、
考える余裕などなくなって。




無事収録が終わって挨拶をして。
今日も無事収録が終わったことに安堵する。

片付けを終えて、少し仕事をしてから、
帰ろうかなと思って、デスクに戻る途中。

あのっ、なんて声がして、振り返って、まさかの人物に思わずびっくりする。




『………て、つや、さん？』

て「………っ、あの、これ」




そう言って、渡された紙切れ。
折ってある部分をひらけば、IDのようなもの。




『………………っえ、』

て「スタッフさんだし、こんなことしちゃいけないの分かってるんですけど、なんか、後悔するような気がして」

『…………えっ、と、』

て「お仕事邪魔してごめんなさい！連絡、まってます」




そのまま、私の前を走っていったてつやさん。
まさかの出来事に、紙を見つめながらしばらく立ち尽くしていた。




あのあと、結局仕事には集中できず、
早めに切り上げて帰ってきてしまった。

ベットの上で、紙を見つめながら、
今日のことをぼーっと考える。

入社依頼こんなこと初めてで、
そもそも、なんで渡されたのかもわかってない。

どう見ても、LINEのIDにしか見えないこれは、
果たしてどうしたら、よいものなのか。

そんなことを考えていれば、
携帯から、突然着信を知らせる音。





『…………わっ、もしもし』

り「もしもし？」




携帯から聞こえるりょうの声に安心して。
いつものように、そのまま会話を続けて。

なんとなく、今日のことを話すのは違う気がして。
そのまま会話を続けていれば、突然りょうが、
A、今日仕事でなんかあった？なんて。

思わずびっくりして、固まって数秒で、
何にもないよ、なんて返事をして。

心配する声を聞きながら、今日もらった紙を、
ベットサイドのテーブルに置いて。









.

お友達に会うはなし→←突撃されるはなし

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す