クラッシュガー (ページ5)

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うたって○ts ページ5

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toshimitsu side

仕事から帰ってきて、
リビングのソファに座ろうとすれば、
後ろから腰に手が回ってきて。

そんなことする人は、1人しかいないけれど、
ぴったりくっつく温もりに、少しびっくりして。

「……………A？」

『……としみつ、うたってほしい、』

昔はAのリクエストを聞いて、
ギターを弾きながら歌ったりしてたのを、
思い出して、少し懐かしくなって。

そういえば、Aが歌ってほしいと
お願いするときは、決まって何かあったときで。
最近は歌ってと言うこともなかったし、
俺がギターを弾いてても微笑んで聞いていたし、
どうしたかな、なんて心配になりながらも、
Aの好きな歌を口ずさむ。

『………………っ、』

歌い出せば、腰に回る手が強くなって、
Aの手に、手を重ねて。
歌い終われば、回っていた手が緩まって、
ありがと、なんて微笑んで離れようとするから、
思わず手を掴んで、向き合う。

『……………っ、ん？』

「なんか、あったよね、A」

『…………………ごめん、歌ってもらって、』

「それはいいけど」

『………………………』

「A」

少し強めに名前を呼べば、
俺の方に近づいて、Tシャツを掴んで、
頭を胸に当てて、ぼそぼそと話し出して。

『……めちゃくちゃ、重たいこというよ、？』

「おん、」

『うたってる、動画みた、こないだの、』

「ああ、、え、？」

『………遠くに行っちゃう気がして不安になっただけ』

「……………あー、もう、」

『……あっ、まって、すごくよかったの、、まって、ごめん、忘れて、』

俺が言葉を発して、頭をくしゃくしゃっと、
したのを気付いて、ぱっと俺を見上げて。
不安そうな目をしているAを、ゆっくり抱きしめて。

『……………へ、っ、』

「ふっ、知らない俺見てるみたいだった？」

そう聞けば、こくんと頷いて。
すごい、かっこよかったけど、なんて言っていて。

「今の俺は、Aしか知らない俺だけどね？」

少しかっこつけて、そんなことを言えば、
顔を赤くして、ぎゅっと手を回してきて。

余計な心配なんて、しなくても、
俺はA以外のところなんて行くつもりないけど？なんて。

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