三角形。【Ryosuke × Kei】

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／ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ







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その日の夜、突然鳴ったインターホン。







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お母さんが出ると、







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母『A〜！』







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大きな声で呼ぶから玄関へ向かう。







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『何〜、だれ？』







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せっかくテレビ面白かったのに、とドアの外を見ると







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『え？涼介…？』







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下を向いたままの、涼介が。







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『どうした………の？』







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２人で外に出ると、昼間伊野尾くんと

話したときよりもはるかに寒くて。







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手がかじかむ。







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涼介『………………これ、』







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目も合わせずに私に差し出したのは、数学の教科書。







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『え、………どうして涼介が？』







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涼介『俺のかばんに、間違えて入ってたから』







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まともに話したの何日ぶりだろう、と

思うくらい、懐かしく感じてしまうその声。







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『ありがとう…』







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ゆっくり受けとると、







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”じゃ、”と、隣の家に帰ろうとする。







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『待って…！』







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とっさに出たその言葉に、足を止めてくれた。







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涼介『………』







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だけど、振り向いてはくれない。







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最近、お父さんとどうなの？







私にできること、何かないかな…？







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ほんとはこうやって、

涼介にたくさん話したいことあるのに。







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『………だいじょう、ぶ？』







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こんなことしか言えなかったのは、

涼介の背中が私を拒絶していたから。







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涼介『………寒いから早く家入れよ』







『うん………』







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月に照らされる、気崩した制服の後ろ姿を

家に入るまで見つめながら、

持ってきてくれた教科書をぎゅっと握りしめた。







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