三角形。【Ryosuke × Kei】

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『これ、………ないと寒いでしょ』







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肩にかけられたパーカーは、

いつも伊野尾くんが学校で着ているもので。







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慧『………だいじょーぶだよ』







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慧『あっ、そういえばさ、ココア飲んでくれた？』







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『うん………ごちそうさまでした』







慧『いいえー♪』






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依然として目を合わせないのは、

私の涙に気付いているから？







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『っ…………もう…帰るね、ありがとう』







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何を話したら良いのかも分からなくなり、

パーカーを返して公園を出ようとする。







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受け取った手は、そのまま私の腕を掴む。







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慧『………待って』







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前にもあった、この状況。







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後ろを向いているから表情が分からないけれど、







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きっと怒ってる。






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『離して………』







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振りほどこうとするけれど、今は力を弱めてくれない。






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慧『なんで避けるのっ、』







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腕を引っ張られ、伊野尾くんと目が合う。







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顔を見られたくなくて、すぐに下を向く。







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慧『俺………なんか悪いことした？』







『………』







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首をふる。







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慧『じゃあ………どうして、』







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頭上から聞こえる寂しそうな声。







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『………伊野尾くんには、関係ない』







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