三角形。【Ryosuke × Kei】

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明日から冬休みとなった、クリスマスの３日前。







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慧『A〜、』







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『っ………呼び捨てやめて！』







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伊野尾くんとは、何もない。







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今までも、そしてこれからも。







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きっと何もない。







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”……好き、だよ”







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あの時、そう告げられたことさえも

なかったことにしてしまっている。







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現実を見るのが、怖いから。







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慧『いーじゃんよ、ねぇ池田さん？』







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急に話を振られた奈菜は、







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奈菜『え？あ、うん……』







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顔を真っ赤にして、一言返事をするのが精一杯。







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奈菜のためにも、伊野尾くんを避けなきゃいけないのに。







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慧『Aー、ここ分かんない』







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自分で解けるはずの問題を

わざわざ私に聞いてきたとき、







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『………どこ？』







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強く押し返せないのは、







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『………私も、分かんないな』







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慧『ここ…？これはさ、こっちを移行するやつじゃん』







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きっと、嫌なんて思ってないから。







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『あ………ありがと、』







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慧『………ううん、』







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伊野尾くんも伊野尾くんであの日以来、

目を合わせてくれることが少なくなった。







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奈菜『A…、あとで、話あるんだけど』






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最初で最後の伊野尾くんとのキスから、

着々と変わっていく日常に







ついていけていなかったのは、







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慧『………』







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私だけじゃなかったんだね。







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