饒舌な。 ページ2
「こんばんは。」
そう声をかけてきたのは、私服姿の大野先生だった。
潤「お疲れ様です。お世話になっております。」
A「お疲れ様です。」
智「…どしたの？」
A「いえ、何でも…」
智「あっ、そっか。Aちゃんのお父さんと同じ会社の人だもんね。」
A「はい。」
潤「送っていくお約束をさせていただいていまして。」
そう言い出す松本さんに驚いていると、“じゃあ、俺の事も駅まで乗せてくんない？”大野先生はそう言って私は更に驚いた。
運転席に松本さん、助手席には大野先生、その後ろに私が座り、車は走り出した。
智「助かった…俺、医師免許しか持って無いからさ、いっつもタクシーで移動してるんだよね。」
潤「そう、なんですね。」
智「なんか運転免許って、取るの忘れちゃうよね(笑)」
何だかいつもよりも饒舌な大野先生の話を、駅に着くまで私は黙って聞いていた。
智「松本くん、ありがとうね。」
A「ありがとうございました。」
駅で車を降りて松本さんの車を見送ると、“大丈夫？”と大野先生が言った。
A「はい、ありがとうございます。助かりました。」
智「助かった、の？」
A「あっ…」
智「ふふっ、モテる女は大変だね。」
“じゃあ、お疲れ様〜!!”手をひらひらとさせて、大野先生は私とは反対側のホームへ続く階段を上って行った。
その背中を見送ってから、私もホームへ続く階段を上った。
大野先生の優しさに、気付かずに・・・・・
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作者名：晴日。 | 作成日時：2018年10月28日 23時
