産科医のSakurai先生。◆１◆【＠ｒａｓｈｉ】 (ページ19)

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伝わる。ページ19

翔「…智君と俺さ、歳は一個違うんだけど同級生でさ…」

　

櫻井先生は、机にちょっとだけ腰掛けて話し始めた。

　

翔「医大生の頃からの付き合いなんだよ、俺ら。…何か腐れ縁みたいな感じでさ。

俺がここで働いてるのも智君に誘ってもらったからで…。」

　

何かを思い出すように顔を上げて、どこか遠くを見ているようだった。

　

翔「でも、あの人…ちょっと不器用でさ。」

　

そう言った櫻井先生はちょっとだけ口角を上げて笑っていたけど、その瞳は俯いてゆっくりと閉じたその瞼は何か言いかけた言葉を飲み込んだように見えた。

　

翔「…ゴメン、喋りすぎたね。また、午後もよろしくね？」

　

櫻井先生はニコッと笑って診察室から出て行った。

　

櫻井先生が去った診察室は、爽やかな空気に包まれていた。

　

ちょっと重い話の後でも空気がガラリ、と変わったのは櫻井先生の持つ人柄がそうさせているんだと思う。

　

半日しかいないのに、櫻井先生の良さは十分すぎる位伝わった。

　