百七十一話 ページ44
No side
白「ねぇ、今のって…」
気絶したAの側に落ちた花弁を拾い上げ、白藍がぼつりとつぶやいた。その声は震えている。そんな彼女の手のひらに乗っかったそれを背後から覗き込んだ青藍は目を細めた。
青「あぁ、完全に冷華様の能力だ。しっかりあのお方の血を継いでいらっしゃる。」
白「うん。それにこんな状況で寝息を立て始めた…前言撤回するよ。この子、冷華様そっくり。見てこの寝顔。」
青「なんて無防備な…本当に冷華様の生写しだな。」
白「でしょ？」
白藍がクスクスと笑う。今にも泣きそうな目をした白藍からそっと視線を移し、青藍は心地良さそうに寝息を立てるAを再度見つめた。
本当は気づいていた。青藍も白藍も。この少女を初めて見たその瞬間に、悟ってしまったのだ。冷華がもう、この世に存在しないことを＿＿＿
でも認めなかった。認めたくなかった。どうしても彼女を連想させる容姿のAを見ると、余計に胸が締め付けられてしまう。こんな思いをするのならば、いっその事…
その考えで頭が埋め尽くされ、白藍はAを襲い、青藍もそれを支持した。
落ち着いて考えてみればなんて無駄な争いなのだろう、と青藍は自分自身に呆れてため息をこぼす。
白「あのさ、青藍。あたし達、この子とちゃんと向き合わないといけないと思うんだよね。」
青「…そうだな。俺たちは向き合わなければいけない。冷華様の死とも…この方とも。」
白藍は実際にAと戦い、痛いほど実感した。Aと冷華は全くの別人である。戦い方も、その人柄も、何もかも。どれも当たり前のことだけれど、白藍にとってはどれも衝撃的であった。
白「冷華様はもう、いない…んだよね。」
青「あぁ。でも、あのお方が残したものは俺たちの光になるだろう。」
白「うん。冷華様の事はもちろん大好きだけど、あたしこの子のことも好きかも！」
青「同感だ。冷華様とは違い危なっかしいが、それも見ていて飽きない。不思議だな。見た目はそっくりなのに。銀の髪に映える赤い髪留めなんかも…ん？」
いきなり固まった青藍を不審がって白藍は彼の視線の先を見つめる。
白「あぁ！冷華様もこんな色の簪持ってたよね。すごく大事そうに…青藍ー？」
青「どういうことだ…まさかこれも男から送られてきたものではないだろうな。まだこんなにお若いのに…いや、しかしありえなくはない…いったい何処の馬の骨が…だいたい何故いつの時代も人間の男は」
白「おーい戻ってこーい」
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RUNA - 一気読みさせて頂きました！すごく面白いです！続き待ってます！ (9月24日 21時) (
レス) id: b5ccb32c76 (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (5月22日 1時) (レス) @page48 id: d76bc8bfcd (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - ありがとうございます！！（泣） (2021年11月25日 20時) (レス) id: 10525b1d34 (このIDを非表示/違反報告)
鈴鹿 - とっても面白いです。続きを楽しみにしてます。 (2021年10月1日 22時) (レス) @page30 id: 2e973fc2c9 (このIDを非表示/違反報告)
月の舞 - まかろんさん» また撮って更新して載せました。載せ方は6月10日に送られてきたメッセージ通りです。 (2021年7月13日 7時) (レス) id: 4940840d93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まかろん | 作成日時：2021年4月2日 4時
