氷花はいつか溶けたい参 (ページ7)

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九十話ページ7

No side

さて、突然で悪いが他の店ではどうなっているのか見てみよう

【荻本屋】

「どうよこれ！！」

「きゃーーーっすごい！」

荻本屋のやり手は満足そうに汗を拭う

「変な風に顔を塗ったくられていたけど、落としたらこうよ！！すごい得したわ、こんな美形の子安く買えて！！」

黒髪の美形の少女_____いや、少年は何を言っているのか理解していない様子だ

実はコレ、伊之助である

周りにキラキラと輝くものが見えるのは気のせいだろうか

「仕込むわよォ、仕込むわよォ！

京極屋の“蕨姫”や、ときと屋の“鯉夏”よりも売れっ子にするわよォ！！」

張り切るやり手とその手伝いに何処かへ連れ行かれる伊之助

「でも、なんか妙にこの子ガッチリしてない？」

「ふっくらと肉づきが良い子の方がいいでしょ！」

「ふっくらっていうか、ガッチリしてるんだけど…」

.

べん

べん

べべん

【京極屋】

「あ…あの子三味線うまいわね。」

「そうね…すごい迫力。」

ここでは目を釣り上げて三味線を弾く金髪の遊女が...

善逸だ

周りの遊女たちも開いた口が閉まらない

「最近入った子？」

「耳がいいみたいよ。一回聞いたら三味線でも琴でも弾けるらしいわ。」

「でも不細工よねぇ…」

「よく入れたわね、お店に…」

べべべべと響く三味線の音の中、貶され始める善逸

「あの子を連れてきたのがもんのすごいいい男だったらしいわよ。」

「ホントに？見たかった！」

「やり手婆がポッとなっちゃってさ。」

彼女らはまるで言い訳のように話す

すると一人の遊女がキセルを片手に言った

「アタイにはわかるよ。あの子はのし上がるね。」

「ええっ？」

「自分を捨てた男を見返してやろうっていう気概を感じる。そういう子は強いんだよ。」

「そ…そうなんだ…」

“自分を捨てた男を見返す”

彼女はあながち間違ってはいなかった

涙目になりながらも三味線を弾き続ける善逸

彼は自分を捨てた男______宇髄による忌々しい記憶を思い出していた

_____便所掃除でもなんでもいいんで、貰ってくださいよォ。

いっそダダでもいいんでこんなのは。______

べしべし善逸の頭を叩きながらそう言った宇髄

悔し涙を流しながら善逸は決意する

善「(見返してやるあの男…！！

アタイ、絶対吉原一の花魁になる！！)」※なれません