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百二十六話 ページ44

二人が消滅した途端、絵を写していた何かはフッと消えた。

炭治郎君たち、大丈夫そう、とは言い難いけれど生きていて良かった。
宇髄さんはどうなったんだろう。
善逸君は?伊之助君は?

というか、私はいつになったら目が覚めるんだろう。そう思っていた時だった。

「何よ、此処は何処?」

『梅、ちゃん…?』

そう、死んだ筈の梅ちゃんがそこに立っていた。格好は花魁の姿なんかじゃなく、普通の着物を着ていた。遊郭の格好も綺麗だったけれど、今の方がよっぽど良い。

『あの、梅ちゃん。私さっきまでの見て…』

声をかけても反応は無い。暗い空間をキョロキョロ見渡すだけ。私の姿は見えていないの?

すると妓夫太郎も現れた。
すぐさま彼を呼ぶ梅ちゃん。

梅「お兄ちゃあん!!嫌だここ嫌い。どこなの?出たいよなんとかして。」

会って早々我儘連発の梅ちゃん。でもこれが兄妹、なのかな?

妓「お前その姿…」

梅ちゃんに格好を見て目を見開く妓夫太郎。

そして何を思ったのか、くるりと背を向け、梅ちゃんを拒絶した。

梅「なっ、なんで?待ってよアタシ…」

妓「ついて来んじゃねぇ!!」

梅ちゃんがビクッとする。
とてもきつい言い方。
でもなんとなく、それは彼女のためだと言うことがわかる。
彼女はまだ戻れる、そう考えたのだろう。
しかしそれが伝わらない梅ちゃんの瞳には、じわじわと涙が溜まっていった。

梅「さっきのこと起こったの?謝るから許してよ!

お兄ちゃんのこと醜いなんて思ってないよォ!!悔しかったの。負けて悔しかったの。アタシのせいで負けたって認めたくなかったの。」

彼女の、梅の本音がポロポロと出てくる。

梅「ごめんなさいうまく立ち回れなくって。アタシがもっと役に立ってたら負けなかったのに。いつも足引っ張ってごめんなさい。」


嗚呼、なんて言うんだろう。
何という名前なんだろう。この気持ちは。
満たされているような、何かが欠けているような。

梅「ねぇ、お兄ちゃん。」


____姉上。_____


『え?』


妓「お前とはもう兄妹でも何でもない。俺はこっちに行くからお前は反対の方、明るい方へ行け。」

するとハッとした梅ちゃんは助走をつけて思いっきり妓夫太郎の背にしがみついた。

妓「おい!!」

梅「嫌だ、嫌だ。離れない!!絶対離れないから、ずっと一緒にいるんだから!!何回生まれ変わってもアタシはお兄ちゃんの妹になる。絶対に!!」

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作者名:まかろん | 作成日時:2021年1月7日 6時

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