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九十九話 ページ16

炭治郎side

その時俺の頭の中では

煉獄さんの父親_____槇寿郎さんからの手紙の内容が思い出されていた


【杏寿郎の為に泣いてくれてありがとう。

この四か月、千寿郎とも手紙のやりとりをしてくれていたそうだね。あの子も随分元気になった。

初対面があのようになってしまい、恥ずかしく思う。

自分の無能に打ちのめされていた時、畳み掛けるように最愛の妻が病死した。

それから酒に溺れ、蹲り続けた私はとんでもない大馬鹿者だ。

杏寿郎は私などとは違い、素晴らしい息子だった。

私が教えることを放棄した後でも、炎の呼吸の“指南書”を読み込んで鍛錬し、柱となった。

たった三巻しかない本で。

瑠火の…母親の血が濃いのだろう。杏寿郎も千寿郎も立派な子だ。


そして竈門君。

君はもっと凄い力がある。


日の呼吸の選ばれた使い手は、君のように生まれつき赤い痣が額にあるそうだ。

だから君は____】



いいえ槇寿郎さん

この傷は生まれつきのものじゃない


これは元々、弟が火鉢を倒した時、庇って出来た火傷です


さらにその上を“最終選別”で負傷して今の形になりました


俺の父は生まれつき額に薄く痣があったようですが、俺は違います


俺はきっと


選ばれた使い手ではないのでしょう


でも


それでも



選ばれたものではなくても

力が足りずとも


人にはどうしても退けない時が

あります



人の心を持たない者がこの世にはいるからです

理不尽に命を奪い、反省もせず、悔やむこともない

弱い者から殺そうとする



その横暴を








.









俺は絶対許さない





心臓が脈立つ

何か生暖かいモノが俺の瞳から溢れる


それが何かなんて、どうでもいい






今はただ、こいつの頸を斬るだけだ

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作者名:まかろん | 作成日時:2021年1月7日 6時

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