【刀剣乱舞】双子審神者と刀剣男士【参】 (ページ27)

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第7話笑顔ページ27

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「……なあ、加州」
「んー、なに？」
「お前、一体どんな手を使ったんだ？」

信じられない、とでも言いたげに大和は言った。
目線の先では満面の笑みを浮かべた撫子が、短刀と中庭で戯れていた。

撫子が加州を渾名で呼び始めてはや数日、撫子は加州だけでなく他の刀剣男士達も渾名で呼ぶようになっていた。
いつも悲しげな瞳をしていた審神者が、満面の笑みで話しかけてくるのだ。
殆どの刀剣男士は戸惑いながら、撫子に渾名を付けられていた。
勿論、渾名を気に入らない者も少なからずいるようだが……。

「別にー？」
「別にって訳じゃないだろ」

眉を顰め、大和は加州に問うた。
加州は涼し気な顔をして、自身の爪に紅を塗る。

「俺が何をしたって無駄だった。なのに、何で……」
「俺はただ、主に我儘を言っただけだよ」

加州はそう言い、完成した爪を満足気に見た。
だが、大和は納得がいっていないのか、更に眉を顰める。

「ははっ、主ってば変な顔」

余程訝しげな顔をしていたのか、加州は大和の顔を見て笑った。
こっちは真面目な話をしているんだ！と叫びたくなったが、やめた。
なぜなら、先程中庭で短刀と遊んでいた撫子が2人の元へ掛けてきたからだ。

「お兄ちゃん！」
「撫子、あんまり走ったら危ないぞ」
「大丈夫です！それより見て下さい！」

撫子はそう言うと、新聞紙に包まれた焼き芋を取り出した。

「落ち葉を集めて、皆で作ったんです！」
「そうか。……ありがとう」
「出来たてなので、早めに食べてくださいね！」

撫子は元気よく笑顔で言うと、焼き芋を大和と加州に手渡し、慌ただしく短刀達の方へ戻っていった。
新聞紙越しに伝わる焼き芋の熱と、先程の撫子の笑みが重なって、大和は小さく笑った。

「……どうやら、俺はお前に対して言うべきことを間違えたみたいだ」

隣で焼き芋を食べ始めた加州に、大和は言う。
加州はちらりと一瞬だけ大和を見たが、すぐさま焼き芋への視線を移した。

「―――――ありがとうな、加州」

大和の呟きに、加州は驚いたように大和を見た。
大和は心の底から笑っており、それを見た加州は照れを隠すように焼き芋にかぶりついた。
しかし、加州は口元に笑みを浮かべており、かぶりついた焼き芋を飲み込むと、大和に向かって満面の笑顔で言った。

「……どーいたしましてっ！」