【刀剣乱舞】双子審神者と刀剣男士【参】 (ページ24)

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第4話撫子の微笑みページ24

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加州が撫子の許可を貰い、部屋の中に入る。

「急にお呼び立てして申し訳ございません」

畳に手を置き、流れるような動作で撫子は加州に対して頭を垂れた。

「ううん。全然」

加州は軽く首を振り、撫子の前に座る。
加州が座ったのを確認すると、撫子はゆっくりと頭を上げた。

「それで、俺に用事って？」
「加州清光様が顕現されて暫く経ちます。ですので、明日から出陣をお願いさせてもらおうと思い、お呼び致しました……これを」

撫子は静かに言うと、加州に小さな小包を手渡した。
花の刺繍が入った真っ赤な風呂敷で包まれており、加州の片手にすっぽりと収まる大きさであった。

「お守りでございます」

撫子が放った言葉に、加州は顔を上げた。

「一度だけ、破壊を防いでくれる物です。我が本丸には一つしかありませんので、使い古し…という事になってしまいますが…」

今まで無表情であった撫子の顔に、少しだけ感情が表れる。
まるで「申し訳ありません」と言いたげに、目を伏せた。

「ですが、たった一つのお守りが今でもあるということは、この本丸で破壊した方が一人もいないということです。加州様も、このお守りを、次にいらっしゃる方に渡す日が来れば良いと願っております」

撫子はそう言うと、加州に対して柔らかに微笑んだ。
いつも見せるような悲しそうな笑みではなく、花がゆっくりと開くような、そんな穏やかな笑みだった。

想像以上に早く撫子の笑顔が見れたことに加州は驚いた。
想像した―――いや、想像以上に美しい笑みに、これまで撫子の事について悩んでいた自分が馬鹿らしく思えてきた。

――――自分に対してこんなに暖かい笑みを浮かべてくれる人が、どうして自分の事を愛してくれないと言い切れるのだろうか。

思えば、大和守は分かっていたのかもしれない。
または、以前は加州のような状況に陥っていたが、何かをきっかけに分かったのかもしれない。

―――この二人の審神者は、自分の事を大切に、そして、愛してくれる―――と。

「ははっ。うん、分かった。…ありがと、主」

撫子の笑みにつられるように加州も笑う。
そしてお守りを内ポケットに仕舞い、撫子に向き直った。
その瞳にはもう、迷いなどない。

「あ、そうだ、主。
―――――ちょっと話があるんだけど」