【刀剣乱舞】双子審神者と刀剣男士【参】 (ページ16)

今日:15 hit、昨日:3 hit、合計:12,652 hit

第4話玄関先での出会いページ16

.

「あぁ！これはこれは鶴丸殿に秋田殿！おはようございます！」

2振りが外に出ると、甲高く元気な声が耳に届いた。
声のした方へ顔を向けると、2振りの想像通り、そこには鳴狐と襟巻きのようにその首に巻き付くお供の姿があった。

「……おはよう」

2振りを目に止めた鳴狐は、短くそう言った。

「おはようございます。鳴狐さんにお供さん」
「よっ、おはよう鳴狐。今日は寝坊せずに起きられたかー？」

秋田は元気よく挨拶を返し、鶴丸は悪戯な笑みを浮かべ、鳴狐を見る。
この本丸の鳴狐は朝に弱く、起こしてもその1時間後に起床するのが常なので、本丸の寝坊常習犯の一人だ。

「……」

鳴狐はあからさまに鶴丸から視線を逸らし、同時に首を真横に向ける。

「ち、違います！鳴狐が寝坊したわけではなくて、布団がわたくし達を話してくれなかっただけで……！」
「狐」

お供が必死に弁解しようと口を開くが、それは更に鳴狐が寝坊したという事実を確実なものにするだけで、思わず鳴狐はお供に声を掛けた。

「鳴狐さんはどうしてここに？」

助け舟かただの偶然か、秋田が鳴狐とお供を見上げて声を掛けた。
お供はこれ幸いとばかりに耳をピンと立て、秋田に楽しげな声で話し掛けた。

「雪合戦をするんですよぅ！」
「わああっ雪合戦！去年もやってましたね！」
「はい！どうやら今年も開催するようで、皆様かなり張り切っていらっしゃいますよぅ！」

お供もまた雪合戦を楽しみにいているようで、うきうきで秋田にそう語った。
そうしていると、3人(＋1匹)の近くで1人の男士が足を止めた。

「…おい」

━━━酷く低い声がした。
秋田と鶴丸、そして鳴狐とお供はその正体を確かめるために声の主の方へ身体を向けた━━━

「「うわああああ！！」」
「うおおっ！？」
「……！」

その男士を見た秋田とお供、鶴丸は思わず声を上げ、鳴狐は目を見開いた。
分厚いフード付きコートを羽織り、そのフードを深く目元まで下げ、中にはタートルネックを着用し鼻先まで持ち上げ、首にはもふもふとしたマフラーを巻き付け、完全防水の手袋、そして膝下ギリギリの長靴を着用した”何か”が立っていた。
フード下からはみ出す金髪に一瞬山姥切を疑ったが毛先が白っぽいためどうやら違うようである。

なんとも言えぬ空気の中、目の前にいる刀剣男士に心当たりがあったのか、お供がいつもの甲高い声を上げた。

「━━━おや、南泉殿！わたくし達に何か御用ですか？」